F.シューベルト 交響曲第5番 変ロ長調

指揮ルドルフ・ケンペ
演奏BBC交響楽団
録音1974年8月30日
カップリングブラームス 交響曲第4番 他
発売BBC Worldwide
CD番号BBCL 4003-2


このCDを聴いた感想です。


 ケンペが最後に就任したのがBBC響の常任指揮者で、それが亡くなる前年の1975年のことです。この演奏は、それよりさらに一年前のコンサートの録音になります。
 なかなか響きの厚い重厚な演奏です。
 もちろん、シューベルトの第5番ですから、ブルックナーなどと違ってヘビー級の重量感ではなく、基本的には軽くテンポ良く、それに厚みと重みが適度に加わっています。
 全体の雰囲気は非常に落ち着いていて、テンポ良く進んでいても、生き生きというより、テンポや歌い方が本来あるべきところにピタッとはまった、むしろ安心感を感じさせる音楽になっています。
 メロディーにしても、過度に歌いこんだりはせず、第2楽章のようにゆったりとした音楽でも、メロディーの歌いこみは抑え気味です。メロディーに力を入れてそればかりを目立たせるのではなく、厚みのある伴奏の中にメロディーも収まり、一体となって暖かい雰囲気を作り上げています。
 どこか飛び抜けて強烈な印象を残す部分が無いため、一度聴いたぐらいではなんだか大人しい演奏のような気がしますが、この暖かい安心感がしだいに効いてきます。なんだかしみじみと聴き入ってしまうのです。
 例えば、第3楽章のトリオは、響きの透明感やメロディーの表情付けだけ見れば、もっと上の演奏はいくらでもあるでしょう。しかし、メロディーが下から上に上っていき、和音が変わるにつれてフワッと浮かび上がるような雰囲気に変わっていく一連の流れの、響きのちょっとした厚み、そこから感じられる大木のような安定した暖かさは、他の演奏には無い魅力があります。
 演奏しているBBC響は、ライブのせいか、少しアンサンブルが甘いところもありますが、響きに厚みがあるためあまり気になりません。でも重量感といいキレよりも暖かさがあるところといい、イギリスのオーケストラというよりもなんだかドイツのオーケストラみたいな印象を受けました。(2006/4/8)


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