F.シューベルト 交響曲第5番 変ロ長調

指揮エドゥアルト・ヴァン・ベイヌム
演奏アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
録音1946年9月17日
カップリングベルリオーズ 幻想交響曲 他
発売DUTTON(Decca)
CD番号CDK 1208


このCDを聴いた感想です。


 ヴァン・ベイヌムのシューベルトは、活動期間が短い割に録音が多く残っており、わたしが知っている限り、交響曲だけでも、第1・2番以外の6曲が揃っています(第9(8)番「グレート」だけはライブ録音ですが)。
 ただ、全集か何かを作るために集中して録音されたわけではなく、録音時期や会社にはいくらかバラツキがあります。第3・6・8(7)番は1950年代後半のPHILIPSでヴァン・ベイヌムの晩年に近く(といっても最後の第8番でもまだ亡くなる2年も前の1957年ですが)、もしヴァン・ベイヌムが急死しなかったら将来的には全集にするつもりだったのかもしれません。第4番が1952年のDECCAで第9番のライブもほぼ同じくらいの時期のはずです。
 ところがこの第5番だけ少し古く、戦後は戦後なのですが、1946年と終戦の翌年の録音なのです。
 録音状態も、その時代を反映していて他の録音よりも雑音などが多く、少し落ちます。まあ、戦後間もない頃の録音としてはわりと良いほうなのでしょうが、原盤の保存状態が悪かったのか、それとも録音する際の問題なのか、第3楽章の後半の主部と第4楽章の冒頭などは、音が急に変質したりこもったりと、少々聴きづらい部分もあります。

 演奏は、戦後の混乱時期にしてはかなりうまく、ヴァン・ベイヌムのキビキビとした棒に遅れたりすることなく素早く反応しています。
 響きもおそらく普通の編成で演奏しているとわかるぐらい厚いのですが、風通しはよく、こじんまりとした曲調に合わせて、軽い動きでスマートに進めています。また、単に軽いばかりではなく、第1楽章の終わりの方に登場する、ホルン以外の全楽器がユニゾンで上っていく音階などは力が入っていて、一気に駆け上がっていくところなどはなかなか勢いがあります。
 その一方で、じっくりと歌わせているのが第2楽章です。
 特に頭の方はテンポもいくぶん後ろに引張り気味で、メロディーをビブラートを強くかけて大きく歌わせています。
 もっとも、歌っているといっても、メロディーが協奏曲のソロのように完全に主役となってメロディーの歌にあわせて伴奏をつけるということはなく、全体の枠はキチンと決まっているのに、その枠を感じさせないでのびのびと歌わせているところがヴァン・ベイヌムの上手さなのでしょう。
 また、ちょっとオッと思ったのが第3楽章のトリオです。
 この前半は、同じようなメロディーを、最初ファゴット+ヴァイオリンで演奏して、それをオーボエ+ヴァイオリンが繰り返し、全体をまたもう一度リピートで繰り返すという形になっているのですが、ヴァン・ベイヌムは単純に同じ形では繰り返しません。
 リピート前の一回目は、ファゴットとヴァイオリン、オーボエとヴァイオリンのバランスはほぼ同じくらいですが、リピート後の二回目は、ヴァイオリンが極端に小さくなり、ほとんどファゴットとオーボエのソロのように聞こえます。こういう変化は小さな工夫ですが気分が変わって面白いと思います。(2005/4/9)


サイトのTopへ戻る