指揮 | パウル・ヴァン・ケンペン |
演奏 | ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団 |
録音 | 1938年 |
カップリング | シューベルト 交響曲第9番<ザ・グレイト> |
発売 | Disques Refrain(Polydor) |
CD番号 | PMCD-5 |
なかなか軽快な演奏です。 特に、アレグロになってからの弱いピアノ部分です。重みをあまり感じさせない跳ねるような軽さに感心しました。音を短めに切ってトントンとリズム良く進んでいきます。 さらにテンポも速過ぎず遅すぎず、気持ちの良い風を感じながらジョギングをしているような足取りで、とても心地よく感じます。 強いフォルテの部分は、録音が古いだけに音が割れがちで、そこはどうしても気になります。ただ、響きはかなり低音を厚くしてどっしりと安定感がありながら、重さに負けて遅くなったり引きずったりするようなところはなく、締まった音で、ビシッと緊張感があります。テンポも速さが保たれていて、響きは厚くても、音楽的にはむしろグイグイ前に引っ張っています。 弱い部分も強い部分も共通して前に前に進んでいくため、音楽の流れが非常に良くなっているのです。 一方、冒頭の遅いテンポの序奏の部分は、テンポの速い部分の軽快さとは対照的に、結構歌いこんでいます。 木管やヴァイオリンなどのメロディーは、一音一音を丁寧に扱い、しっとりと言って良いほど落ち着いた雰囲気の中でじっくり歌いこんでいます。途中音が跳ぶ動きでは軽くポルタメントが入っているところなどは、さすがに時代を感じさせますが、テンポの伸び縮みはあまりなく、じっくり歌い込んでいても、もたれるような感じはしません。 序奏部はしっとりと進めておいてアレグロからは軽快、というその対比が明確に表れています。その一方で、序奏部もアレグロもテンポの遅い早いの差はあっても常に前に進んでいるという統一感も保っているところが上手いところです。(2011/10/08) |