F.シューベルト 「ロザムンデ」間奏曲第3番

指揮ウィレム・メンゲルベルク
演奏ニューヨーク・フィルハーモニック
録音1923年4月26日
販売及び
CD番号
BIDDULPH(WHL 025-26)


このCDを聴いた感想です。


 この録音は、以前紹介した、同時期に録音の序曲とセットみたいなもので、音楽の基本的なスタイルも共通しています。(正確には、この間奏曲の方が、序曲よりほぼ丸一年前の録音ですが)
 これを、後年の1940年のコンセルトヘボウ管とのライブ録音と較べると、テンポの一番速い部分ともっともテンポを引っ張った部分の速さとの差は、両方の録音ともほぼ同じくらいなのですが、その中間部分は大きく異なります。
 後年のライブ録音の方は、テンポの変化は滑らかで、緩やかなカーブを描いてだんだん速くなったり遅くなったりしています。
 その変化の仕方は、かなり自然といえるでしょう。
 一方、このニューヨーク・フィルとの演奏では、テンポの変化はより急激です。
 例えば、曲の冒頭からの長調の部分は、4小節+4小節が一つのフレーズになっているのですが、最初の4小節間では、ほとんどテンポの変化はなく、直線的に音楽が進んでいきます。
 そして、次の4小節で一気にテンポを遅くしてヤマをつくり、これがまた次の4小節+4小節のフレーズに移るときには、もう最初の速いテンポに戻っています。
 この変化のさせ方は、たしかに後年の演奏と較べると不自然なのですが、この不自然さが逆に音楽をよりドラマチックにしています。
 車に乗っている時に急ブレーキをかけると慣性の法則で前につんのめるように、聴いていると、テンポが急激に落ちるのにあわせて、ぐいっと意識が音楽の方に引き付けられるような気になってきます。
 後年のライブ録音の自然な変化も良いのですが、この演奏の急激な変化も、後年には無いメリハリが感じられ、わたしは結構好きです。

 録音の方は、機械録音という事もあり、決して良くはありません。
 しかし、楽器個々の音は意外と鮮明で、しかもこの曲は編成が小さいという利点もあり、この時代としてはかなり聴きやすい方ではないでしょうか。

 演奏内容とは直接関係は無いのですが、少し変わったところとして、繰り返しは一切行なっていないという点があります。
 この曲は、そもそもA−B−A−C−Aという形式で、Aの部分は共通の長調の部分で、Bが短調1(Minore I.)、Cが短調2(Minore II.)となります。
 で、この全ての小節がリピート記号の枠内に入っているため、結果としてほぼ丸二回演奏する事になるわけです。(二回目と三回目のAでは繰り返しをしないので、正確には倍ではありませんが)
 メンゲルベルクは、A−B−A−C−Aという形式は守っているのですが、そこについているリピート記号を全て省略しているのです。
 そのため、本来は演奏に8分以上かかるところが5分以内に収まっています。
 後年のライブ録音では、きちんと繰り返しを全部行なっている事から考えると、おそらく原盤の収録時間の制限により省略せざるを得なかったのではないかと思います。(2002/6/7)