F.シューベルト 「ロザムンデ」序曲

指揮ウィレム・メンゲルベルク
演奏ニューヨーク・フィルハーモニック
録音1924年4月17日
発売及び
CD番号
BIDDULPH(WHL 025-26)


このCDを聴いた感想です。


 これは凄いです。
 皆さんも聴かれたらきっと驚かれることと思います。

 そのカットに(笑)

 いや、ここまで豪快なカットは初めて見ました。
 このロザムンデ序曲という曲は、通常はだいたい10分前後かかる曲なのですが、この演奏はなんと4分14秒しかかかっていません。
 演奏時間が通常の半分以下という時点で、この演奏のカットの凄さがだいたい想像頂けると思います。

 曲の部分的なカットというと、たいていは全曲の中で比較的問題の無さそうなところを削っていくものですが、この演奏の場合は、そもそも曲の中で演奏している部分の方が少ないため、反対に全曲の中から重要な部分だけ抜粋して曲を構成したんじゃないかと思えてきます。

 まず前奏部分は軽く半分カットされていて、アレグロ・ヴィヴァーチェに入ってからも、主題の2回目の繰り返しが完全に無くなり、6/8の終結部に入ってからも途中がバッサリとカットされています。

 ここまでぶった切られていると、さすがに繋ぎは恐ろしく不自然で、聴いていても非常に違和感を感じます。
 なんだか吹奏楽コンクールで、本来なら長い曲を規定の時間内に曲を収めるために、滅茶苦茶なカットをして無理矢理押し込んでいるかのようです。

 実は、メンゲルベルクはこのロザムンデ序曲を、後年スタジオ録音とライブ録音で1種類づつ録音を残しています。
 ところが、その2種類の演奏に関しては、この演奏のようなカットを行なわず楽譜通り演奏しています。
 では、なぜこの録音だけ変なカットを行なっているかというと、おそらく原盤に収録できる時間の関係だと思います。
 後年のスタジオ録音では、この曲を録音するのに原盤を2枚使っていますが、この演奏では1枚しか使っていません。
 この1枚に収録できる時間が5分程度が限度だったため、この時間内に無理矢理収めるため、ズタズタなカットになってしまったのでしょう。
 じゃあ、なぜ2枚に分けなかったのかというと、この理由はわたしにもちょっと分からないのですが、おそらくコスト面等の商業的な理由だったのではないかと推測しています。
 この録音を行なったほぼ1年前に同じロザムンデの間奏曲を録音していますので、それと併せて1枚のレコードとして売り出すつもりぐらいではなかったのでしょうか。

 演奏の方は、若い頃のメンゲルベルクらしく、後年に較べると音楽が直線的です。
 冒頭のアンダンテもテンポは速めですし、あまり揺らしたりせずほぼ一定に保たれています。
 メロディーの歌わせ方には、メンゲルベルクらしいビブラートを効かせた濃厚さを聴き取ることも出来ますが、後年ほど激しいものではありません。
 アレグロ以降では、速めのテンポで音を短く切り、颯爽とした音楽を創り出しています。

 録音状態は……多くを期待してはいけません。
 電気じゃないんです。機械録音なんです。楽器が判別できるだけでも凄いと思わないと……(涙)
 一応、録音する方も、聴き取りにくいファゴットにはホルンを重ねたりと、涙ぐましい努力をしていますし、機械録音の中では最末期の録音ですから、機械録音にしてはかなり聴き取りやすい方でしょう。
 ダイナミクスも、音量自体には差がついていなくても、吹き方からピアノとフォルテの差ぐらいは分かるぐらいにはなっていますし。
 ただ、まあ、所詮は機械録音です(笑) 五十歩百歩どころか、二歩一歩の差でしかないのですが。(2001/9/25)