F.メンデルスゾーン.B 僧侶の戦争行進曲 劇音楽「アタリア」より

指揮ウィレム・メンゲルベルク
演奏ニューヨーク・フィルハーモニック交響楽団
録音1929年1月16日
発売及び
CD番号
Pearl(GEMM CD 9474)


このCDを聴いた感想です。


 メンゲルベルクは、この曲を2回録音しており、今回取り上げるのは2回目の録音の方です。
 1回目の演奏の感想の時にも書きましたが、どちらもオーケストラはニューヨーク・フィルであり、コンセルトヘボウ管ではありません。
 しかも、1回目は1924年でまだ機械録音の頃、今回の録音にしても電気録音ではありますが、30年代にも入らない1929年の録音で、メンゲルベルクが60歳にもなっていない、まだまだ若……くはないにしても、中堅の頃で、晩年のような極端に曲線的な解釈ではありません。
 この演奏を聴いていても、まず気がつくのが、音楽が硬く直線的である点です。
 もちろん、曲自体がマーチだからという理由が大きいのですが、テンポを一定に保って、音を短く切り、まっすぐ進めています。
 しかし、硬く直線的でテンポを一定に保って演奏しているのですが、トントンとリズミカルに前に進む流れはあまり感じられず、意外とマーチらしくありません。
 あまりにも硬く直線的なので、まるで人間ではなくロボットが行進しているみたいで、自然な流れというには角がつき過ぎているのです。
 ただ、行進曲という点を考えなければ、硬く直線的である分メリハリがあり、アクセントも鋭く決まっていて、非常に堂々としていて聴き応えがあります。
 行進というよりも、むしろ正座して背筋を伸ばして聞く方が似合うのではないかと思えてくる演奏です。
 その一方で、中間部の緩やかなメロディーは、全く対照的に柔らかく流れるように演奏されています。
 このメロディーは、1回目の演奏の感想にも書いたとおり、1回目の方がポルタメントが強めに入っていて甘いのですが、この2回目は、1回目ほどの甘さは無いものの、より自然で露骨さが無く、1回目を合成甘味料とすれば、こちらはサラッとした天然の抑えた甘さといったところでしょう(逆に1回目は、そこが魅力でもあります)。
 それでも、主題部が硬く直線的なので、十分に柔らかさは引き立って聞こえます。
 それに、メンゲルベルクはこういうメロディーを歌わせると本当に独特の魅力があります(…単に、わたしの趣味にピッタリなだけかもしれませんが(汗))。
 歌わせる時に微妙に陰影をつけることでメロディーに多彩な表情が出て、まるで子犬か子猫のような可愛さがあり、あっという間にその魅力に溶けてしまいました。

 録音については、1920年代としてはなかなか良いほうではないかと思います。
 ましてや、第1回目の機械録音と比べると5年という歳月以上に、大きく差を感じます。
 やはり、電気録音は偉大でした(笑)
 また、これも前回書きましたが、第1回目の録音と違って、この第2回目の録音では、スコアの改変は行っていないようです。(2003/11/15)


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