F.メンデルスゾーン.B 交響曲第5番 ニ短調 <宗教改革>

指揮コリン・デイヴィス
演奏バイエルン放送交響楽団
録音1984年1月23・24日、3月8・9日
カップリングメンデルスゾーン 交響曲第4番<イタリア>
発売ORFEO
CD番号C 132 851 A


このCDを聴いた感想です。


 コリン・デイヴィスの宗教改革は、1997年にドレスデン・シュターツカペレを指揮した新しい録音がありますが、そちらは残念ながらわたしはまだ聴いておらず、今回取り上げるのはそれより13年前の1984年にバイエルン放送響を指揮した旧録音の方です。
 ただ、わたしがこの演奏に感じた一番の魅力は、ドレスデン・シュターツカペレではおそらくダメで、バイエルン放送響だったからこそ得られたものです。
 それは楽器の音色。特にオーボエの音色です。
 当時のバイエルン放送響の首席オーボエ奏者はマンフレート・クレメントで、この演奏のソロをクレメントが吹いているかどうかはわかりませんが(ネット上の情報で調べた限りではどうやら本人のようですが)、深みのある太い音色ながら明るさも兼ね備えています。さらに薄くかかるビブラートが細かなニュアンスを添えています。
 特にこの曲は、第2楽章にオーボエがパート単独でメロディーを吹くところが多く、音色をそれこそ心行くまで思う存分堪能できます。そのメロディーも1stのソロだけというのは少なく、ほとんどが1stと2ndで3度で和音を保ちながらメロディーを演奏する動きで、1stの音色を楽しみながら、同時にパートとして2本揃った、メロディーを彩って動いていく和音の響きも楽しめます。わたしがこの演奏を聴くのは、半分はこのオーボエを聴くためだと言ってよいくらいです。
 といっても、オーボエ以外の部分が他の楽章も含めて聴くに価しない演奏かというと、決してそんなことはありません。
 管楽器の響きの柔らかさも優しい表情が伝わってきて良いのですが、それ以上に弦楽器に対する細かく神経の行き届いた扱いには感心しました。
 これはやはり第3楽章ですね。強弱を細かく変えて豊かな表情を生み出しています。
 ただ、表情は豊かといっても、メロディーなどは感情を強く込めて歌ったりはしません。限界を超えて多少粗くなっても表現を優先するのではなく、あくまでも美しい響きは保ち、メロディーと伴奏を含めた全体で強弱を揃えて変化させることで音楽に表情を付けています。全体の響きは整っていながら小さくまとまった平坦な音楽にならず、大きく表現しています。
 全体的に、表現の幅は広いながら響きは柔らかく、良くも悪くもきれいにまとまっているため、ここ一発での迫力はありません。ただ、この演奏にはそんなものは不要でしょう。豊かな表情と美しい音色と響きを聴いていると、それだけで十分に満足できます。(2007/3/24)


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