F.メンデルスゾーン.B 劇音楽「真夏の夜の夢」よりスケルツォ

指揮アルトゥーロ・トスカニーニ
演奏ニューヨーク・フィルハーモニック交響楽団
録音1929年3月30日
カップリングメンデルスゾーン 劇音楽「真夏の夜の夢」より抜粋 他
「ARTURO TOSCANINI and the PHILHARMONIC SYMPHONY ORCHESTRA OF NEWYORK
The Great Recordings 1926-1936」の一部
発売Pearl(Victor)
CD番号GEMM CDS 9373


このCDを聴いた感想です。


 高い緊張感、というよりむしろ切迫感を感じる演奏です。
 ほとんど借金取りか殺人犯にでも追われているんじゃなかろうかと思えるくらい、すぐ後ろの危機から必死で逃げているような切羽詰った雰囲気があります。
 そもそもテンポから速く、同じトスカニーニの別の録音の演奏時間がだいたい5分程度なのに較べ(他の指揮者もだいたい同じくらいです)、この演奏だけは4分16秒とハイスピードで飛ばしていきます。
 なんだか半分浮き足立っていると言っても良いくらいです。
 ただ、焦って追いまくられているような雰囲気の割にはそれほど乱れはありません。
 たしかに細かい部分を見るとピタッと揃わない怪しげな部分も多少ありますが、頭はよく揃って輪郭がはっきりしていますし、ユニゾンや和音で同じリズムで動くメロディーなどは、いろいろな楽器ががっちりと一つにまとまっていて、それが一体となって動くところは、テンポの速さと相まって、地響きがたつような迫力で突き進んでいきます。
 トスカニーニの真夏の夜の夢の録音は数が多く、さらにスケルツォはそれだけの録音もあるためライブとスタジオ録音を合わせれば少なくとも7〜8種類はあるでしょう。わたしもとてもじゃないですが全ては聴いたことが無く、この演奏含めてニューヨーク・フィル(響)との録音が2種類(1926,1929)、BBC響との録音が1種類(1935)、NBC響との録音の1種類(1946)の計4枚しか聴いたことがありませんが、その中では、この1929年のニューヨーク・フィル響との録音だけが異質で、無謀なほどの突進と差し迫った緊張感が際立っている演奏です。
 データを見る限り、マトリックス番号や録音会社がはっきりしているのでスタジオ録音だとは思うのですが、あまりの手に汗握る臨場感にほとんどライブ録音みたいに聴こえます。

 録音状態はなかなか良く、同じニューヨーク・フィルの1926年の録音と較べてももちろんのこと、1935年のBBC響との録音や1946年のNBC響との録音と較べてもそれほど遜色ありません。
 特に、古い時代の録音にありがちな特定のパートだけ突出してそればかり聴こえることなく、どのパートもバランス良く響いています。この曲はメロディーが途中から異なる楽器に受け継がれることも多く、そのつながりがスムーズに聴こえるのが嬉しいところです。

 トスカニーニの未聴の録音には、機械録音時代のスカラ座管との録音や、ストコフスキーと担当オーケストラを交換するという企画の際のフィラデルフィア管との録音もあり、このあたりはいつか聴いてみたいものだと思っています。(20005/9/10)


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