F.メンデルスゾーン.B 劇音楽「真夏の夜の夢」

指揮ウラディミール・ゴルシュマン
演奏ウィーン国立歌劇場管弦楽団
録音1960年
カップリングメンデルスゾーン 交響曲第4番<イタリア>
発売Vanguard
CD番号SVC-122


このCDを聴いた感想です。


「真夏の夜の夢」は全曲版から抜粋(組曲)版までいろいろありますが、この演奏は序曲・スケルツォ・ノクターン(夜想曲)・結婚行進曲の4曲を抜粋したもので、抜粋版としてはごくごく一般的な取り合わせでしょう。
 この演奏の4曲の中では、わたしは序曲が最もすばらしい演奏だと思います。
 響きが厚く、なにより華やかです。また、鋭さはないのですがその代わり丸くふくらみがあり、和やかな舞踏会を見ているような優雅な雰囲気があります。
 鋭くないといっても音自体はなかなか切れがよく、アンサンブルも良く揃っているため細かくちょこまかとした動きなんかも軽く、生き生きと跳ね回っています。
 聴いているうちに「これから劇が始まるんだ」というワクワクした気持ちをかきたててくれます。
 一方、意外なインパクトがあったのが結婚行進曲です。
 これは金管につきます。
 妙に癖のある音だったり荒々しかったりします。
 皆さんもよくご存知の通り、この曲の冒頭はトランペットのファンファーレで始まりますが、その音色が華やかさとはまるで正反対に無骨でくすんでいます。
 なんだか古楽器のように素朴な音で、滑らかな丸い響きではありません。
 さらにトロンボーン辺りは破裂するような荒い音で吹いていて、しかもバランス的に結構強いので、弦や木管が華やかな響きを出していても、それを圧倒して一気に野性味溢れる雰囲気に塗り替えています。
 街中での結婚式というより田舎の村の結婚式で、近所の人がそのお祝いに豚の丸焼きでも作って宴会を開いてくれたいった雰囲気ですね。 まあ、当時の雰囲気も案外これに近いのかもしれませんが。
 スケルツォとノクターンは、上記の2曲ほど印象は強くありませんでした。
 スケルツォはテンポが割と遅く、その上アンサンブルも少し怪しいのですが、その分落ち着いていて、じわじわっとゆっくり盛り上げていく辺りは、経験を積んで重厚になりみんなからも頼りにされるようになった、いたずら好きとはもう違う成長したパックみたいなイメージが浮かんできます。
 またノクターンは、結婚行進曲とは反対に冒頭のホルンなどは柔らかく、響きにも厚みがあります。
 ただ、ずっと同じ調子で続いているため、もう少し大きく抑揚をつけても良かったのでないかと思います。(2004/6/26)


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