F.メンデルスゾーン.B 劇音楽「真夏の夜の夢」

指揮クラウディオ・アバド
独唱語     り:バーバラ・スコーヴァ
第1の妖精:シルヴィア・マウクネアー
第2の妖精:アンゲリカ・キルヒシュラーガー
演奏ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
エルンスト・ゼンフ合唱団の女声合唱
録音1995年12月31日
カップリングメンデルスゾーン 交響曲第4番<イタリア>
発売ソニー・ミュージックエンタテインメント
CD番号SRCR 1620


このCDを聴いた感想です。


 この演奏で最も特筆すべき点は語りです。

 この曲の語りは、本来、いたずら好きの妖精「パック」と妖精の王「オベロン」と妖精の女王「ティタニア」の3役に別れているのですが、この演奏の語りであるバーバラ・スコーヴァは一人で声色を分けて全役こなしています。
 この語りが、単に上手いと言うだけではなく、とても魅力的なのです。
 「ティタニア」の時は、割と普通なのですが、「パック」の時は、少年のような子供のような中性的な魅力があり、「オベロン」の時には、宝塚の男装の麗人のような美しさに溢れています。
 もう、この声を聴いただけで、元は取れたと思ってしまったぐらいです。
 これ以降、「真夏の夜の夢」のCDを買うときには必ず語り入りを、と思っていたのですが、改めて探してみると、「真夏の夜の夢」のCD自体はたくさんの種類が出ていますが、語り入りのなんと少ないことでしょう!
 ほとんどが組曲のみ、たまに全曲入っていても語りは無し、という演奏ばかりです。
 語りが入っている方が、楽しいのに…… と残念に思います。
 ところで、わたしが持っているのは国内盤ですが、これと同じカップリングで輸入盤も発売されています。
 ジャケットのデザインから何からほとんど同じため、同じ演奏の単なる国内・輸入の違いと見えがちなのですが、実は同じ演奏のくせに、語りをやっている人が違っているのです。
 輸入盤の方は、名前まではチェックしませんでしたが、なんと男性が語りなのです。
 わたしは、輸入盤の方を買う意欲が一瞬で無くなりました(笑)
 男性ではとてもあの雰囲気は出せないと思います。うん。

 語り以外の部分では、アンサンブルの美しさが際立っています。
 特にスケルツォは素晴らしく、軽さという点では今一つですが、ハーモニーがピタリと決まり、音色が綺麗に融合されているところは、さすがベルリンフィル、さすがアバドと言いたくなるほどです。
 先ほど、軽さでは今一つと書きましたが、別に重いというわけではなく、曲がスケルツォだったので、もっと軽くなって欲しいと思っただけで、全体的には軽目というか、風通しの良い演奏になっています。
 ゴージャスさは全く無く、素朴で涼しげな夏の夜の雰囲気にしようというアバドの意志が表れています。
 また、メロディーも必要以上に歌わせたりはせず、じっくりと楽しい「真夏の夜の夢」の世界に浸れ、とてもさわやかな気分になります。

 ただ、この演奏には非常に残念な点があります。
 それは、曲のカットがあることです。
 特に、聴き所(とわたしが勝手に考えている)の、「葬送行進曲」や「村人達の踊り」が無いのは惜しいことです。
 他の部分の演奏がいいだけに、これらの曲も演奏してくれていたら、きっと聴き甲斐のある演奏になっただろうと思います。(2001/1/25)


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