F.メンデルスゾーン.B オラトリオ「エリア」

指揮マルコム・サージェント
独唱バス(エリア):ハロルド・ウィリアムズ
ソプラノ:イソベル・ベイリー(Isobel Baillie)
コントラルト:グラディス・リプリー(Gladys Ripley)
テナー:ジェイムス・ジョンストン
演奏リヴァプール・フィルハーモニック管弦楽団
ハッダースフィールド合唱協会
録音1947年5月29日〜6月1日
カップリングメンデルスゾーン オラトリオ「エリア」より 抜粋(ブレースウェイト指揮 他)
発売DUTTON(Columbia)
CD番号2CDAX 2004


このCDを聴いた感想です。


 なんともドラマチックな演奏です。
 冒頭の、エリアが語る短いプロローグの後のオーケストラだけの序曲になる部分から、早くも劇的に盛り上がります。
 音楽自体、序曲の始まりのピアニッシモが合唱が登場するフォルティッシモまで、だんだんと楽器の数を増やしながら次第に盛り上がっていくようになっていますが、この演奏は、その効果を二倍にも三倍にも膨らませています。
 ただ音量が大きくなっていくだけでなく、テンポもどんどん速くなり、なによりメロディーに加わる力強さが一気に跳ね上がっていきます。
 始まりは重くドロッとした感じですが、進むにつれ、音の出だしのアタックは叩きつけるように強くなります。さらに、この部分のメロディーは、基本的に同じメロディーの繰り返しですが、同じメロディーを繰り返していくごとにスピードも加速をつけて上がり、最後は手で鷲づかみしてグイッと一気に持ち上げるように盛り上げておいて、そのまま合唱に突入します。
 古い録音で音はそれほど良くないにもかかわらず、それを超えて圧倒的なパワーが伝わってきます。
 さらに、合唱が進んで盛り上がりも一段落して、また弱くピアノまで落ちると、最初のように重みをつけてじっくりと進み、次の盛り上がりに備えてエネルギーを蓄えています。
 こういう、落ち着いた部分にあたる、レチタティーヴォやアリアなどの独唱や、独唱が何パートか重なる重唱では、テンポも遅めで落ち着いていますが、だからといって大人しいわけではありません。重みをつけてじっくりと歌い込み、聞かせる音楽にすることで、盛り上がる部分とはまた異なる聞かせどころにしています。
 この重みのある聞かせる音楽と、迫力のある盛り上がりが対比となり、よりドラマチックな音楽になっているのです。
 ただ、残念なのは、やはり録音の古さです。
 雑音などはあまりないのですが、どうしても細かい部分はつぶれています。これは、DUTTONの復刻の特性も大きく影響しているのでしょう。わたしの経験上の印象ですが、DUTTONの復刻は、響きが厚く迫力はあるのですが、その反面、響きが多すぎていわゆる風呂場に近くなり、細かい部分まで聞き取るのには適していません。そのため、この演奏でも、歌詞は少し聞き取りづらいですし、合唱などもハーモニーの美しさはあまり感じられません。その分、迫力はあり、演奏がドラマチックなことを考えると、細部が少々犠牲になってもこの復刻が合っていたのではないかと思います。
 オーケストラも、冒頭の出だしからバラバラだったりと、技術的には少し怪しげな部分がありますし、現代の、細部までキチンと揃い、引き締まった演奏と比べると、たしかにいろいろと粗はありますが、昔の大編成のオーケストラによる劇的で強く訴えかけてくる演奏というのはそれらの欠点をものともしない魅力があります。(2009/1/24)


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