F.リスト 交響詩「レ・プレリュード」

指揮ウィレム・メンゲルベルク
演奏ニューヨーク・フィルハーモニック
録音1922年4月18・20日
発売及び
CD番号
BIDDULPH(WHL 025-26)


このCDを聴いた感想です。


 メンゲルベルクのリストの演奏はそれほど多くなく、録音として残っているのは、スタジオ録音ではこの「レ・プレリュード」だけ、ライブでも1944年のピアノ協奏曲第1番だけだと思います。
 ただ、「レ・プレリュード」は2回録音していて、1回目がビクターへのこのニューヨーク・フィルとの録音。2回目が7年後の1929年にコロンビアに対してコンセルトヘボウ管と録音しています。
 曲に対するアプローチは、実は結構異なり、後年のコンセルトヘボウ管との録音では、ベースとなるテンポの変動が激しく、音楽自体もかなり曲線的なのに対して、このニューヨーク・フィルとの録音では、テンポをそれほど大きく変えたりはしません。
 音楽はわりと直線的に進んでいき、要所要所でテンポを大きく落として見せ場を作っています。

 この録音は、録音した年が1922年なので、おそらく機械録音でしょう。
 そのため、音自体は非常に貧弱で、全体が鳴っている時は全体で一塊としか聴こえず、それぞれの楽器の音を聞き分けるのは不可能です。
 ピアノの部分だと大分マシなんですが、それでも一度に演奏している楽器は最大で4つぐらいしかないじゃないだろうか、と疑いたくなるような素晴らしい音です。
 しかし、雑音は意外と少なく、なによりも音に割れや歪みがないため、聴いていて苦痛になってくることはありません。
 また、あってないようなバランスですが、アタックやアクセントはオーケストラ全体でかけているため、迫力とか雰囲気はけっこう伝わってきます。
 さらに、ピアノで木管がソロを吹くところは、主役となる楽器は大きめに録音されているので、ニュアンスも完全とはさすがに言えませんが、かなりの部分は聞き取ることができます。
 聴いた感じでは、後年のトスカニーニの時代の硬質な響きではなく、滑らかで柔らかめに聴こえました。

 完全に余談ですが、わたしはこの曲を聴くと、昔NHKで放映された「映像の20世紀」というシリーズの中の一場面がいつも頭に浮かびます。
 まあ、単純にそのシーンで「レ・プレリュード」の一部分(終り近くでシンバルに続いて低弦がゆっくりとしたメロディーをフォルテで演奏する部分です)が使われてたためなんですが、そのシーンというのは、第5集の「世界は地獄を見た」(第2次世界大戦の回です)で、ドイツ軍がバルバロッサの後、スモレンスクを経て、いざモスクワを目指すぞ! という映像で流されるのですが、その後のドイツ軍の悲劇的な運命を考えると、勇壮な響きが却って悲しい曲に聴こえます。
 そう、実はわたしの中では、「レ・プレリュード」は悲劇的な曲なのです。(2000/9/29)


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