F.J.ハイドン 交響曲第93番 ニ長調

指揮グィド・カンテルリ
演奏NBC交響楽団
録音1949年3月2日
カップリングフランク 交響曲 他
「The NBC Studio Recordings(1949-1954)」の一部
発売TESTAMENT
CD番号SBT 2194


このCDを聴いた感想です。


 カンテルリとNBC響のハイドンは、以前、第94番<驚愕>について書いています。今回は一番違いの第93番ですが同じ年の演奏で、ただ、第94番はライブ録音だったのに第93番はスタジオ録音と、少し条件が異なります。
 同じ年の演奏だけあって、基本的なスタイルにはほぼ同じで、パワフルながらキレの良い演奏です。厚い響きで真っ直ぐに押していて、低音にいたるまで輪郭がハッキリしているため重くありません。実はこの演奏も第94番同様テンポ自体は、現代の古楽器系に較べるとわりあい遅めなのですが、曲線的にテンポを揺らしたりしていないため後ろに引っ張られず、実際にはテンポが遅いのに音楽ははるかに前向きに聞こえます。
 第2楽章は相変わらず硬めで、安らぎよりも緊張感の漂う音楽です。テンポが遅いため威圧感があり、少し息苦しいほどです。曲は明るめなのに、なんだか重苦しさが漂っています。
 逆に、硬さが上手く生かされているのが速いテンポの第1・3・4楽章です。
 第3楽章もテンポ自体はそれほど速くありませんが、ティンパニーやトランペットが活躍する派手な曲調のため、重量感はあっても重苦しさはありません。力強さを表に出し、気持ちが高揚するような音楽を作り出しています。まあ、その分メヌエットらしくないというか、あまり一息ついて落ち着くという楽章にはなっていませんが。
 第1・4楽章は、力強いのはたしかに力強いのですが、それ以上に、音のキレの良さに目を見張りました。アンサンブルが良く揃っているということもあり、メリハリのついた鮮やか演奏です。第2楽章では緊張感が強く表れていましたが、こちらは緊張感を保ちながらもむしろ伸び伸びと弾いているという印象を受けました。メロディーを演奏するときなど、硬くきっちりと演奏しているというより、良く歌い、ゴムのように弾力を持ってまっすぐに伸びていくという感じがします。
 この演奏はスタジオ録音ですが、大人しくまとまることなく、ライブ録音かと思えるほど熱がこもっています。ライブ録音の第94番と比べると、ここぞという一発の迫力ではさすがに一歩劣りますが、それ以外の部分ではほとんど遜色ありません。さらに録音の状態という点では、スタジオ録音の利点を生かして、ライブ録音よりもはるかに鮮明に聞こえます。第94番のライブも年代にしては良い方だと思いますが、全体としての雰囲気はともかく、個々の楽器の音はスタジオ録音の方が詳細に聞こえます。(2005/5/21)


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