F.J.ハイドン 交響曲第104番 ニ長調 <ロンドン>

指揮トーマス・ビーチャム
演奏ロンドン・フィルハーモニック管弦楽団
録音1939年1月8日,2月13日,7月4日
カップリングハイドン 交響曲第93番 他
発売DUTTON(Columbia)
CD番号2CDAX 2003


このCDを聴いた感想です。


 ビーチャムは、戦後の1955年前後にロイヤル・フィルと「ロンドン・セット」を丸ごと録音していますが、これはそれより10年以上前、1939年にロンドン・フィルと録音したものです。
 戦後の新録音のロンドン・セットは、ちょうどモノラル録音からステレオ録音への過渡期ということもあってモノラルのものとステレオのものが混在していますが、1958年録音の「ロンドン」はステレオで録音されています。それに較べると、1939年の旧録音は、音の鮮明度やなにより響きの広がりという点では大きく及びません。
 しかし、新録音の方では、ビーチャムも年をとって丸くなったのか、表現が穏やかで、良くも悪くもだいぶのんびりとした雰囲気があるのに対して、旧録音の方はずっと若々しく、キビキビと音楽が進み、緊張感があります。
 テンポ自体は、新録音と旧録音を較べても、第4楽章で旧録音の方が約20秒ほど速いものの(旧 4:41 新 5:06)、他の楽章ではそれほど大きな違いはありません(演奏時間は第3楽章で、1分以上異なりますが、これは繰返しの省略の違いが影響しています)。それでも、聞いた印象としては、旧録音の方が、テンポ良く進んでいくために、ずっと速く聞こえます。
 第1楽章のアダージョの序奏からアレグロの呈示部に入ってすぐだけは、少し後ろに引っ張るような感じでテンポが伸び縮みしますが、すぐに速めのテンポをキープして、そのまま最後のまで真っ直ぐに進んでいきます。
 特に速い第1・4楽章では、低音が安定しています。ドイツ系のオーケストラとは異なりバランスとしてはそれほど強調されているわけではありませんが、硬い輪郭のハッキリした音で、リズムをしっかりと支えています。高音のメロディー系は、けっこう元気良く伸び伸びと歌っていますが、低音がしっかりしているため、メロディーに引っ張られて音楽があっちこっちに傾いて不安定になったりせず、最初から最後まで一本の柱が通り、全体に統一感があります。
 録音状態も、たしかに戦後の録音と較べれば見劣りするものの、当時としてはむしろ高水準です。
 スタジオ録音というのもあるのでしょうが、音はかなり鮮明で、細かい動きもつぶれたりせずちゃんと聞き取れます。ノイズもほとんど入っていませんし、DUTTONの復刻らしく豊かな音ですから、1930年代の録音としては最も聞きやすいものの一つではないかと思います。(2007/7/28)


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