F.J.ハイドン 交響曲第101番 ニ長調 <時計>

指揮ヘスス・ロペス=コボス
演奏ローザンヌ室内管弦楽団
録音1991年12月
カップリングハイドン 交響曲第94番<驚愕> 他
発売日本コロンビア(DENON)
CD番号COCO-70309


このCDを聴いた感想です。


 室内管弦楽団の良さが表れた演奏です。
 普通の管弦楽団や交響楽団のような大編成ではない。また、小編成だからといって古楽器でもなく現代楽器。そこから生まれてくる音楽は……
 まず、小編成だと、大編成のような分厚い響きやフォルテでの怒涛のような迫力は望めません。しかし、逆に澄んだ響きと小回りの良さ、そして風通しが良く涼しさがあります。
 また、古楽器のような鋭さやインパクトもありませんが、その代わり、機能性の高さと、音自体に遥かに豊かな響きがあります。
 これが組み合わさる事によって、豊かな響きを持ちながら暑苦しくなく涼しげで、機能性に優れたスマートな演奏が生まれます。
 この演奏は、特にそのバランスが良く、響きが厚くなりすぎて暑くなることなく、反対に機能性に走りすぎて冷たい印象を受けることもなく、涼風のように涼しげでありながら、芯には暖かみを感じさせるという、ほどよいバランスが保たれています。
 それは中庸の良さでもあります。
 テンポも速すぎず遅すぎず、違和感を抱かせないテンポを保っていますし、曲の一部分や、どれかの楽器を強調させることもありません。要するに、曲の最初から最後まで意表を突かれるという事が無いのです。
 しかし、それでいて無個性で印象に残らない演奏ではなく、そこには中庸から来る優しさが確かに感じられます。
 フォルテであっても、叩きつけるようなアタックや威圧的な迫力ではなく、あくまでも包み込むような柔らかさがあり、ピアノも、指一本迂闊に動かせないような張りつめた緊張感ではなく、自分のすぐ傍で優しく話し掛けられているかのような暖かさがあります。
 これぞまさしく「パパ・ハイドン」というイメージをそのまま表現したかのようです。
 聴いていて、驚かされたり、予想外の事が無いという点では、面白味が無いかもしれませんが、それ以上に楽しく、そして安らかな気分にさせてくれる演奏です。(2003/6/7)


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