指揮 | クリストファー・ホグウッド |
出演 | ソプラノ(ガブリエル・イヴ):エマ・カークビー テナー(ウリエル):アンソニー・ロルフ・ジョンソン バス(ラファエル・アダム):マイケル・ジョージ メゾ=ソプラノ(終曲ソロ):キム・アンプ |
演奏 | エンシェント室内管弦楽団 オックスフォード新大学合唱団 |
録音 | 1990年2月 |
発売 | L’OISEAU−LYRE |
CD番号 | 430 397-2 |
わたしがこの演奏を購入した理由は、唯一つ。 ソプラノをエマ・カークビーが歌っているからです。 以前聴いた、ヘンデルのメサイアでのエマ・カークビーの歌唱が非常に印象に残っていたため、この天地創造もカークビーが歌っているというだけで買ったようなものです。 しかも、メサイアの時は2曲しか出番がありませんでしたが、この天地創造では女声はカークビーのみなので(終曲のメゾ=ソプラノはちょっと特殊な扱いですので)、アリアや重唱にと大活躍するということもあり、期待は倍増です。 という訳で、期待に胸を膨らませて聴いてみたのですが…… 結論から先に書きますと、期待したほどではありませんでした。 といっても、別に並みの歌唱になってしまったというわけではありません。 相変わらず精美な声ですし、ちょっと抑え目な歌い方が逆に清らかな雰囲気を生み出しています。 特に、最初のアリアでもある第4曲の「The marv'lous work〜」は、長く伸ばす音にわずかにビブラートをかけながらクレッシェンドして行くところが、天使のように人間臭さを感じさせない純粋な感じがします。 しかし、メサイアの時のような強烈な印象……とまでは行きませんでした。 メサイアでは他の歌手とは全く異なる声だったのですが、この天地創造では単に上手いソプラノの延長線のような感じで少し残念です。 まあ、それだけでも十分凄いことなのですが…… さて、一方オーケストラの方ですが、室内オーケストラと思えないくらい迫力を出しています。 出すときは出す、引っ込めるときは引っ込める、という区別がハッキリついていて、メリハリがあります。 さらに各楽器が自発的に歌っていて、音楽が生き生きとしているのは良いのですが、その反面、まとまりという点で少し弱いように感じました。 ただ、この演奏において、今一つに感じるのが合唱です。 良く揃っていて決して下手ではないのですが、何かこう奥に引っ込んだような感じで、キレが若干欠けるような気がします。 もっとも、これは録音バランスも大きく影響しているのかもしれません。もしかしたら、マイクから遠かったのではないでしょうか。 また、ホグウッドはこの演奏において、ピーター・ブラウンの校訂による新版を使用していまして、細かい部分において、聴き慣れた演奏とはちょこちょこと異なる部分があります。 しかし、メサイアにおける捨子養育院版の時のような、調が変わるぐらいの大きな変更は無いようです。 最後に一つ特筆しておきたいのが、言語です。 この演奏は、英語で歌われているのですが、わたしが持っている天地創造のCD9種類の中で、英語で歌っているのはこの演奏だけです。(他は全てドイツ語) ハイドン自身は、英語とドイツ語の両方を想定して作曲しているため、どちらの言語でも構わない筈なのですが、何故かドイツ語ばかりです。 単純にわたしが購入したのが、たまたまドイツ語の演奏ばかりだったのかもしれませんが、それにしては1/9というのは、少し確率的に偏りすぎているような気がします。 やはり、演奏する方は、この曲はドイツ語の方が相応しいと考えているのでしょうか? わたしが聴く限りでは、ドイツ語でも英語でも同じくらい魅力的に感じましたが……(2002/2/22) |