F.ショパン ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調

指揮ウィレム・メンゲルベルク
独奏ピアノ:テオ・ヴァン・デル・パス
演奏アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
録音1943年4月9日
発売及び
CD番号
ARCHIVE DOCUMENTS(ADCD.114)
Q DISC(97016)


このCDを聴いた感想です。


 メンゲルベルクのショパンは非常に少なく、録音はこのライブの一曲しかありません。まあ、ショパン自体ピアノ曲が中心の作曲家なので、あまりオーケストラとは縁が無いというのもあるのでしょうが。ちなみに、ショパンの二つあるピアノ協奏曲のうち、ここで演奏されている第2番は、番号こそ2番ですが、作曲は第1番よりも前なのだそうです。
 演奏の方は、ショパンというよりもなんだかベートーヴェンのようです。
 ソロは音を硬くスタッカート気味に短く切っていて、抒情性よりも力強さが感じられます。レガートの部分でも滑らかに歌わせるよりも、一つ一つの音をハッキリと分けて弾いており、アクセントもアタックの強さを前面に出した迫力のあるものです。
 ただ、音楽も直線的かというとそうでもなく、これは伴奏のメンゲルベルクの指示によるものかもしれませんが、テンポはわりと頻繁に伸び縮みして、音楽をドラマチックに盛り上げていきます。感傷的なロマンはほとんど切り捨て、力と劇的な盛り上がりで聞かせる演奏です。
 メンゲルベルクの伴奏もほぼ同じ傾向……というか、むしろこちらの方が先に立っているのかもしれません。
 そもそもショパンのピアノ協奏曲の伴奏というものは、ピアノが休みで管弦楽だけの部分はまだしも、ピアノが登場している部分は、白丸の音符、つまり長い音だらけで、たまーにゆったりとしたメロディーの動きがあればそれが一番目立つ部分、というぐらい、地味で目立たない伴奏です。
 ブラームス辺りの『ピアノつき交響曲』と呼ばれるようなソロと伴奏がほとんど対等な扱いとは正反対で、ほんとうにオマケみたいな単なる引き立て役になっています。
 しかし、メンゲルベルクの伴奏は、伴奏も強く自己主張しています。(もちろん、あくまでもショパンにしてはの話ですが)
 音が移り変わるときにポルタメントを入れているので耳につきやすいというのもありますが、それよりも、長い音の連続でも強弱に違いをつけたりアクセントを上手く使ってよく歌わせているという点が存在感を大きくしています。
 特に強弱の変化でピアノからフォルテに向かってクレッシェンドしていく部分は、メインのピアノソロ以上に激しく盛り上がります。まあ、こういう盛り上げ方がベートーヴェンっぽいところで、ショパンとは思えないぐらい健康的で輝かしい頂点を築いています。

 この演奏はカットしている部分があるので注意してください。
 第1楽章の序奏は、後半がバッサリとカットされて半分の長さしかありませんし、同じ楽章の終わり近くにも10小節近いカットがあります。
 さらに、これはARCHIVE DOCUMENTSだけの問題ですが、第3楽章が頭から第353小節まで欠落しており、その後しかありません。この楽章は全体でも513小節ですから、じつに7割近くが抜けていることになります。そのCDのリーフレットによると素のソース自体に問題があったようです。Q DISCの方はちゃんと楽章が全部入っているため、聴かれるのでしたらこちらの方が良いでしょう。もっとも年代が年代なのでどちらも音はそれほど期待できるものではありませんので。(2005/6/11)


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