E.H.グリーグ ペール・ギュント第1組曲

指揮ウィレム・メンゲルベルク
演奏アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
録音1943年4月15日
カップリングチャイコフスキー 交響曲第6番<悲愴> 他
発売ARCHIVE DOCUMENTS
CD番号ADCD 108


このCDを聴いた感想です。


 メンゲルベルクのグリーグはそれほど多くありません。
 このペール・ギュントの他は、1932年に録音した「二つの悲しき旋律」だけだと思います。

 さて、演奏の方ですが、第1組曲に含まれている4曲の中で、最も印象的なのは第2曲の「オーゼの死」です。
 弦楽器だけで、ピアノから始まって、徐々に盛り上がっていき、最高潮に至るという構成は、メンゲルベルクの得意とするところです。
 決してテンポを一定に保たず、1フレーズの中で、ほんのわずかづつ変化させ、大きなうねりを作っていきます。
 そして、曲が盛り上がるにつれ、テンポの変化が大きくなり、それにポルタメントが加わることで、一層激しく盛り上がります。
 最高潮の部分では、まるで号泣してるかのようにバリバリに感情がこもっています。メンゲルベルクは割と様式美を大切にする方だとわたしは思ってましたので、ライブとはいえ、ちょっと珍しいです。
 でも、最高潮に盛り上がった直後に、急に美しいピアノになるのは、いかにもメンゲルベルクらしいです。
 激しい盛り上がりが、サッと美しいピアノになって、聴いてるほうだけ取り残されるっていう感覚がたまらなく好きです。

 次にメンゲルベルクらしさが出ているのが、第3曲の「アニトラの踊り」ではないでしょうか。
 この曲では、テンポ変化に特徴が出ています。
 早い話が「踊るのは不可能」なほど絶え間なく、しかも大きなテンポ変化があります。
 まず、三拍子のリズムからして普通のリズムではありません。
 頭が重く、3拍目がかなり遅れて出てきます……ってここだけ見るとなんだかワルツみたいですね(笑)
 さらに、フレーズの最後は大きくテンポを緩ませ、アニトラが踊っていたら、前につんのめること請け合いです(笑)。  でも、雰囲気はよく出てるんですよね〜
 メロディーを担当する弦楽器のアクセントの付け方と抜き方が上手く、もう妖しさ大爆発って感じです。

 第4曲の「山の魔王の宮殿にて」は曲の後半に向けての盛り上がりとアッチェルランドが凄いのですが、曲の方向性がはっきりしてるので、他の演奏と差がつきにくく、録音が悪い分だけちょっと損をしています。

 第1曲の「朝」も、メロディーを歌わせて、かなりの盛り上がりを見せるのですが、「朝」のすがすがしい雰囲気は皆無です。どっちかっていったら「深夜」と言う方が相応しいような気が……(汗)
 要するに、歌わせすぎ&盛り上げすぎですね(笑)

 録音は、ライブとはいえ、43年の録音だけあって、なかなか鮮明です。
 しかし、一部、カッターで切りまくったんじゃないだろうかと思われるような、ヒドイ傷があります。
 よく見ると、CDにもわざわざ注意書きで『これこれの部分は元のテープに傷があるんであきらめてね〜』(一部意訳)と書いてあります。
 まあ、こればっかりはしょうがないですね。(2000/12/8)


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