E.エルガー 行進曲「威風堂々」第1番 ニ長調

指揮エドワード・エルガー
演奏ロイヤル・アルバート・ホール管弦楽団
録音1926年4月27日
カップリングエルガー 行進曲「威風堂々」第2番 他
「The Elgar Edition Volume III」より
発売EMI
CD番号CDS 7 54568 2


このCDを聴いた感想です。


 エルガー自作自演の演奏です。
 しかも、エルガーはこの曲を2回も録音していて、これは1回目の方、1926年の録音です(2回目は1932年)。1926年頃というと、電気録音が登場して間もない時期ですが、音を聞く限り、幸いにもちゃんと電気録音での録音のようです。
 演奏しているオーケストラは、ロンドン響が登場するまではロンドンにおける二大巨頭(あ、一応旧ロイヤル・フィルもありましたね)の一つであり、ついでにロンドン響登場以降は、BBC響やロンドン・フィルなどの新興勢力に押されてあっけなく消滅してしまった、まるで恐竜のようなオーケストラのロイヤル・アルバート・ホール管弦楽団です。
 このロイヤル・アルバート・ホール管は、名前からも見当がつくと思いますが、ロンドンにあって毎年プロムス・コンサートが催されることでも知られるロイヤル・アルバート・ホール付きのオーケストラで、長年に渡りランドン・ロナルドによって率いられてきました。ついでに消えてしまった二大巨頭のもう片割れは、ヘンリー・J・ウッドが率いていたクイーンズ・ホール管弦楽団で、こちらも名前の通りクイーンズ・ホール(こちらは1941年のロンドン空襲で焼失してホール自体無くなってしまいました)付きのオーケストラです。現存するロンドンのオーケストラでは最古株のロンドン交響楽団は、このクイーンズホール管でのウッドの厳しい締め付けに反発して離脱したメンバーが設立したものです。
 ちなみに、この演奏は、演奏しているオーケストラはロイヤル・アルバート・ホール管なのに、録音会場はクイーンズホールというあたりがちょっと不思議なところですが。

 さて、演奏の方ですが、まず目に付くのは演奏時間の短さです。
 他の多くの演奏が6分から6分半ぐらい掛かっているのに対して、エルガーの演奏は新旧どちらの録音も4分20秒程度しかありません。ただ、これはテンポがめちゃくちゃ速いというわけではなく、繰り返しをほとんど全てカットしているためで、おそらく原盤を1枚で済ませたかったからでしょう。
 もっともテンポ自体もけっこう速めで、繰り返しのカットと速いテンポの両方でなんとか1枚に押し込んだのかもしれません。ただ問題はオーケストラがその速さについていけず、焦ってゴチャゴチャになっていたりとあちこちで綻びが露呈しています。そう極端に速いというほどのテンポでもないのにこれだけボロが出ているあたり、オーケストラがほどなく消滅してしまったというのも十分に納得できます。
 主部はもちろんのこと、トリオの有名なメロディーでも歌わせるというよりリズムを強調して刻んでいくという硬めの演奏で、テンポをあまり動かさずほぼ一定のテンポを保って直線的に進めていることもあり、コンサート用のマーチというより、実際に行進の伴奏をしているかのようです。
 ただ、ほとんど一定に保っている中で、唯一大きくテンポが動いているのが、2回目のトリオの直前です。
 ここは、全体が四分音符で音階を登って盛り上げてトリオで頂点に達する部分で、どの指揮者でも多少なりともテンポが遅くなるところではありますが、エルガーはそれが極端で、思いっきり後ろに引っ張って、トリオに向かって大げさなほどに劇的に盛り上げていきます。
 それまで速めのテンポでどんどん進めていたのも、全てはここで思う存分テンポを遅くしても大丈夫なようにするためかと思いましたよ。

 録音状態は、いくらスタジオ録音とはいえ、1926年ですからあまり良くありません。2回目の1932年の録音と較べても大きく差があり、特に響きの薄さはしょうがないとはいえかなり厳しいものがあります。
 それでも2回目のトリオにちゃんとオルガンが入っているのは嬉しいですね。
 もっとも録音が録音なので、本当に『あっ、言われてみれば背後で薄っすらと鳴っているかな』程度ですが。(2005/10/15)


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