D.ショスタコーヴィチ 交響曲第9番変ホ長調

指揮ベルナルト・ハイティンク
演奏ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
録音1979年1月
カップリングショスタコーヴィチ 交響曲第5番
発売ポリドール(DECCA)
CD番号F00L-23077


このCDを聴いた感想です。


 このショスタコーヴィチの第9番という曲は、他の交響曲と比べてかなり短めの曲ですが、なかなか面白い曲です。
 この曲の一番の特徴は『ずれ』ではないかと思っています。
 例えば、メロディーでは、パッと聞いた瞬間は、非常に耳に馴染みやすく、親しみやすいように感じられます。
 ところが、親しみやすいと思ったメロディーは、少しずつずれていて、握手をしようとしたら、こっちが右手で、相手が左手を出してきたような、違和感を感じます。
 それが和音や展開にも現れる第1楽章では、予定調和がだんだん崩されていくような、もどかしさが感じられます。
 ひどい例えですが、向こうから知人が歩いてきて、笑いながら挨拶してきたので、こちらも笑いながら挨拶を返し、次の瞬間、相手が刀で自分に切りつけて来た…笑った顔のままで…というイメージです。ちょっと大げさですが(笑)
 普通の日常なのに半分だけ異次元、でもやっぱり日常という、似て非なる世界の怖さが感じられます。
 これが第3楽章以降になると、明るいけど狂ったような雰囲気になります。
 何かに追い立てられているような曲調は、まるで、後ろから銃を突きつけられて「楽しいか? 楽しいよな! 楽しいって言わないと射殺するぞっ!」と脅され、「は、はひ、と、とても楽しいです。ソ○ィエト万歳!」と、無理やり明るくさせられているような印象を受けます(笑)
 まあ、わたしの頭に「ジダーノフ批判」のイメージがあったこともあるんでしょうが…
 全体を聴いていると、ひどく焦燥感に襲われる曲です。

 ここまで、読まれた方の中には、わたしが、この曲を嫌ってるのかと思った方もいらっしゃると思いますが、実は大好きです。
 この、精神が分裂しそうな『ずれ』と、『焦燥感』が、たまらなく好きなのです(笑)(2000/11/17)


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