D.ショスタコーヴィチ 交響曲第5番 ニ短調

指揮アルトゥール・ロジンスキー
演奏クリーブランド管弦楽団
録音1942年2月22日
カップリングショスタコーヴィチ 交響曲第1番
発売DANTE
CD番号LYS139


このCDを聴いた感想です。


 ロジンスキーがクリーブランド管弦楽団の音楽監督に就任していた頃の録音です。
 10年間就任していた音楽監督を辞任する直前の録音で、オーケストラも彼の意図をかなり汲み取れるようになっていたと思います。
 技術の方も、後年のセルの頃と較べるとさすがに差が有りますが、それでもかなり上手い方ではないでしょうか。
 録音は、1940年代のアメリカの録音ということで水準以上に良く、リマスタリングにもよるかと思いますが、音質はクリアで、特にノイズの少なさと、楽器の音質の生々しさは驚きました。ただ、当時としては限界なのでしょうが、楽器間の音の分離はあまり良くなく、フォルテの部分では、それぞれの楽器の音がごっちゃになって聞こえてしまいます。

 演奏はロジンスキーらしく、速いスピードながら、重量があり、まるで馬がこっちにつっこんでくるような迫力があります。
 テンポの変化はあまり自然ではなく、かなり唐突な面もあります。これは好みにもよるのでしょうが、ロジンスキーの演奏自体が優美さよりも野人的な荒荒しさを感じさせるものであるため、かえって相応しいように感じられます。
 とにかく、第1、第4楽章はもちろんのこと、緩徐楽章である第3楽章も迫力に満ちています。
 わたしはこの曲の第3楽章にはある種の儚さを感じることが多いのですが、この演奏では、儚さよりも迫力が勝り、活気に溢れた演奏になっています。
 けれど、決して軽くなっているわけではないので、これはこれでけっこう好きなアプローチです。
 また、ロジンスキーはこの曲の第4楽章の中間部分を大きくカットしています。
 それは小太鼓の短い連打の上にテーマが現れてくるところの前の静かな部分ですが、後年のロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団との録音でも同様のカットをしていますので、ロジンスキーの考えだと思いますが、正直言うとこのカットはあまり好きになれません。その静かな部分があってこそ、次のテーマが出てくるところの緊張感がより高まると思うのですけど…

 ロジンスキーのこの曲の演奏は、この録音よりも、1954年にロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団と録音した演奏のほうがよく知られていると思います。
 しかし、わたしはその演奏よりも、このクリーブランド管弦楽団とした演奏の方が好きです。
 アプローチ自体はほぼ一緒で、録音の鮮明さでは、もちろん後年のロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団との録音の方が勝っているのですが、なぜかわたしはこのロイヤル・フィルとの演奏では迫力をあまり感じることができません。
 もちろん、リマスタリングや再生環境に影響される面も多いかとは思いますが、わたしとしては、このクリーブランド管との方が、より生々しい迫力が伝わり興奮させてくれます。(2000/3/4)


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