C.M.v.ウェーバー 歌劇「オベロン」序曲

指揮ラファエル・クーベリック
演奏バイエルン放送交響楽団
カップリングメンデルスゾーン 劇音楽「真夏の夜の夢」 他
録音1964年
発売Grammophon
CD番号415 840-2


このCDを聴いた感想です。


 よくまとまり、かつ響きに厚みが感じられる演奏です。
 アンサンブルがバイエルン放送響らしくピタリと揃っている点もすごいのですが、なによりもバランスの良さに感心しました。メロディーや伴奏が、どこか一つのパートだけ不自然に強調されること無く、全体が聴いていて落ち着く適度なバランスに保たれています。そのバランスは、低音が強めのいわゆるピラミッド形の安定感のあるバランスで、土台が重めで厚く、その上にメロディーが乗っかります。メロディーは自在に歌っていますが、土台が安定しているため、全体の流れはとてもスムーズです。テンポも遅くする指定のあるところではかなり遅くしたりと意外と大きく動いているのですが、いくら動いても無理やり動かしたような不自然さや引きずられそうになる不安定さは全く在りません。とても自然です。
 安定感のある演奏というと、新幹線がいくら高速で走っていても乗客がそのスピードの速さを実感することが少ないように、レベルは高くても変化に乏しい退屈な演奏かと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。
 たしかに、ジェットコースターなどで風を直接顔で受けるスリルのようなキレの良いスピード感は求められませんが、キビキビとしたテンポの良さは十分にあります。さらに仕上がりも丁寧に整えられていることで、細やかな表情まで加わっています。
 途中の長いクラリネットのソロから、フォルテに入るぐらいまで辺りなんかは、そういった特徴がまんべんなく表れています。
 クラリネットのソロは、むやみに表情を付けすぎて品を落とすことなく、しかし機械的でもない適度な柔らかい歌わせ方ですし、そこからフォルテまでもテンポを一度落としてそこから戻しながら盛り上げていきますが、直線的に持っていくのではなく、弧を描くように滑らかに盛り上げていくところが無理が無く、さらに頂点ではしっかりと音が出ています。
 変わった事はほとんどせず、正面から正攻法で曲を十分に表現している演奏だと感じました。

 余談ですが、聴いていて少し「おやっ?」と思ったところがありました。
 演奏内容がどうこうという点ではなく、オーケストラの並び方で、写真が無いので正確かどうかは分かりませんが、聴いた限りでは、弦楽器が正面から見て左(下手)側に第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンが固まっているようなのです。
 もちろん、これが他の指揮者であれば特に気にするような点ではないのですが、ことクーベリックに限っては、第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンを下手と上手に分ける、昔ながらの対抗配置をとることを常としていたはずですから、珍しいのではないでしょうか。
 この録音は、クーベリックの録音の中でも古い方ですので、もしかしたら、まだクーベリックもいろいろ試していたのかとも思います。(2007/8/25)


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