C.M.v.ウェーバー 歌劇「オベロン」序曲

指揮アルバート・コーツ
演奏ロンドン交響楽団
カップリングフンパーディンク 「ヘンゼルとグレーテル」序曲 他
「Albert Coates conducts volume.II」の一部
録音1926年10月25日
発売KOCH
CD番号3-7704-2 Y6x2


このCDを聴いた感想です。


 スピードの限界に挑戦したようなかなり無茶な演奏です。
 わたしも、この曲はそれほど多くの演奏聴いたことがあるわけではありませんが、演奏時間は、たいてい9分前後、指揮者によっては10分を超える場合もあるぐらいです。
 ところがコーツの演奏はたった8分2秒。他の演奏では8分30秒を切るものすら見たことがないのに、それよりさらに30秒近く短いというのは、ちょっと異常ではないでしょうか。
 とにかく猛烈なテンポで進んでいきます。
 それでも、冒頭のゆっくりとしたテンポの部分は、他の演奏と較べてもそれほど極端に速いという印象は受けないのですが、途中のアレグロの速いテンポになってからがとんでもなく速いのです。
 ちょっと煽りすぎじゃないかと思えるほど前に突込み気味で、せわしないというか、後ろから常に追い立てられているような妙な切迫感が感じられます。
 ただ、なんだか無理しているように思えるほど速いテンポなのは、もしかしたら指揮者の意向というよりも録音上の制約によるものかもしれません。
 録音時期が1926年というのは、電気録音ですらも開始されてからまだ間もない時期で、レコードの原盤にしても一枚あたりに入る収録時間は、1930年代と較べてもだいぶ短かったはずで、それを少ない枚数(おそらく2枚)に収めるために、テンポを無理やり速くして演奏時間を短くしたという可能性はあると思います。
 しかし、それより前の1922年にメンゲルベルクがニューヨーク・フィルと録音した演奏は、まだ機械録音の頃にもかかわらず8分54秒と、9分近くかけて演奏していることを考えると、必ずしも技術上の制約ばかりではないような気もして、どうも判断しかねます。
 まあ、理由はさておき、それだけ速いテンポで飛ばしに飛ばした演奏ながら、アンサンブルにはそれほど乱れは無く意外としっかりと揃っています。
 細かい音符もいろいろありますし、後ろからどんどんせかされると細部はかなりゴチャゴチャになっていそうなものですが、弦楽器の16分音符で動くような細かい動きもちゃんと粒が立っています。
 さすがにメロディーをゆったり歌っているとは言えませんが、速いテンポを生かして直線的にテキパキとメロディーを歌わせていて、なかなかスッキリとした感じを受けます。
 録音が古いだけに響きも薄く重量感もそれほどではありません。しかし、力強さは十分に伝わってきますし、スピードがスピードだけに躍動感のある音楽になっています。
 それに録音は古くても音の割れは少ないため、それほど聞くのに忍耐を必要とする音質ではなく、まっしぐらに突き進んでいく弾丸のような勢いはほとんど損なわれていません。(2006/7/15)


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