C.M.v.ウェーバー 歌劇「オベロン」序曲

指揮ウィレム・メンゲルベルク
演奏アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
録音1928年5月12日
発売及び
CD番号
Pearl(GEMM CDS 9018)
HISTORY(205254-303)
東芝EMI(TOCE-8191〜99)


このCDを聴いた感想です。


 メンゲルベルクは「オベロン」序曲の演奏を全部で4種類残しています。
 その4種類のうち、古いほうの二つがスタジオ録音で、新しい方の二つがライブ録音です。 訂正
 今回取り上げる演奏は第2回目の演奏で、スタジオ録音としては最後の録音です。
 ……もっとも、録音したのは1928年ですから、メンゲルベルクの録音としては、まだまだ初期の頃ですが。
 ちなみに、第3回目の1930年に演奏されたライブ録音は、メンゲルベルクとしては非常に貴重な『映像』がある録音です。メンゲルベルクの映像というのは3曲ぐらいしかなく、当時のメンゲルベルクの指揮する姿を知ることが出来る数少ない資料なのです。

 さて、話を1928年録音の当演奏の方に戻しますが、「オベロン」序曲という曲は、構造を大雑把に分けますと、最初のゆっくりしたアダージョの部分と、主要部の速いアレグロの部分との二つに分けられます。
 メンゲルベルクの4種類の演奏を較べてみますと、この部分のテンポに面白い傾向が見つかります。
 アダージョは後年の演奏ほど遅くなり、アレグロは後年の演奏ほど速いのです。
 つまり早い話が、後年の演奏ほどアダージョとアレグロのテンポの差が大きくなるのです。
 この1928年の演奏は、二つ目の演奏なので、アダージョとアレグロのテンポの差はそれほど大きくはありません。しかし、聴いていて中途半端という感じはしません。むしろ程よくバランスが取れていると言う点では、四つの演奏の中ではこの演奏が一番ではないでしょうか。
 特にアダージョの部分に関しては、メンゲルベルクは基本的にネットリと濃厚な歌わせ方をしているため、あまりテンポを遅くしすぎると音楽の流れが止まってしまいます。それを考えると、この演奏のテンポぐらいが聴いていてもたれないギリギリぐらいのテンポだと思います。
 まあ、人によっては「せっかくメンゲルベルクの演奏を聴くんだから、これぐらいでは物足りん!」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが…… そういう方には1940年のライブ録音をお薦めします。
 アレグロに入ってからは、テンポ自体は確かに速いのですが、曲調が結構ドラマチックということもあり、部分的にテンポを大きく変化させたり、メロディを歌わせるのにもポルタメントを濃厚にかけたりしています。
 特にテンポの方は、一つのテーマから次のテーマに移る際に急激にテンポを遅くするなど、ここぞという部分での緊張感を一段と高めています。
 また、メロディーの歌わせ方では、細かい音符による元気がいい主題と長い音符で構成される優美な主題との違いを、片方は一定の速めのテンポをキープし音を短く切ってキレ良く演奏し、もう一つをテンポを一段階落とし、少しテンポを揺らし気味にしてポルタメントを効かせながら滑らかに演奏することで、ハッキリと差をつけています。
 こういう風にメリハリがついていると、聴いていて楽しくなってきます。

 録音の方は、1928年の録音なので、もちろんそれほど良い方ではないのですが、スタジオ録音の分だけ、まずまず聴ける録音となっています。
 しかも、これ以外の録音については、まず最初の録音は機械録音であるため話にならず、二つのライブ録音もそれほど録音が良くないため、意外とこの演奏が一番良い録音かもしれません。
 特に最後の録音は、1940年という割と晩年の演奏にもかかわらず、あまり録音が良くないのが残念なところです。(2001/11/9)
 
※ 1931年の演奏はライブ録音と書きましたが、ライブ録音ではなく、パリにコンセルトヘボウのセットを作って撮影したスタジオ録音です。申し訳ございません。(2005/12/17)


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