C.H.パリー 「イェルサレム」

指揮マルコム・サージェント
演奏新交響楽団
王立合唱協会(ロイヤル・コラール・ソサエティ)
録音1929年
カップリングG.F.ヘンデル オラトリオ「メサイア」より抜粋 他
「Sir Malcolm Sargent conducts favorite choral music」の一部
発売Pearl(HMV)
CD番号GEMM CD 9380


このCDを聴いた感想です。


「イェルサレム」といえば夏の祭典「プロムス」の定番ですが、この録音は、1944年に亡くなったヘンリー・J・ウッドの後を継いで、そのプロムスを長年担当してきたサージェントの指揮による由緒正しい演奏です。早い話が、クレメンス・クラウスかウィリー・ボスコフスキーの指揮するウィンナ・ワルツみたいなものでしょう。
 もっとも、この演奏が録音されたのは1929年なので、サージェントがプロムスを担当する遥か昔の録音ですが。
 さらに、1929年の録音だけあって、音はあまり良くありません。雑音は多く入っていますし、その上、メロディーばっかり聞こえてきて伴奏はほとんど聞こえません。おそらく同時代の録音と較べても悪い方だと思います。
 さらに一つわからない点もあります。
 CDのリーフレットにはオーケストラ名が書いてあるので(『新交響楽団』という名称自体は聞いたことがありませんが)、当然、エルガー編曲のごく一般的なものだと思っていたのですが、実際に聞いてみるとオーケストラの音は全く聞こえてきません。
 その代わり、なぜか伴奏が原曲通りのオルガンなのです。
 なにぶん、録音があまりにも悪すぎて、それが本当にオーケストラの音ではなくオルガンと言い切れるか、と問われると少し自信がありませんが(なにせ、オルガン+オーケストラだったという可能性もなくはないので)、少なくともわたしにはオルガンのみの伴奏に聞こえました。さらに、このオルガンにしても、合唱が入るとほとんどかき消されてしまい、まともに聞こえるのは前奏と間奏と後奏のみという時点で、かなり怪しげですが。
 一方、合唱の方は、なかなか聴き応えがありました。
 もちろん貧しい音の中からなんとか聞き取っているわけですが、それでも堂々と自信に溢れて歌っているのがわかります。
 前半、後半とも、最後の部分以外はことさら力を入れて威厳を見せようとするのではなく、むしろ淡々と歌っているのに、どっしりと大地に足を下ろし、歌詞の内容に心から共感しているような確信に満ちています。
 さらに、それぞれの最後の一節では、テンポを動かし、この部分だけは力強さを出しています。
 特に後半の最後『Till we have built Jerusalem〜』以降は、急にテンポを落とし、単語一つ一つを強調するかのように力が入っており、この部分への強い思い入れを感じました。
 これで、録音さえ良ければだいぶ聴きやすいのに、そこが非常に惜しいところです。(2005/3/19)


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