C.E.アイヴズ 「アメリカ」の主題による変奏曲

編曲:エリック・クリース

指揮エリック・クリース
演奏ロンドン・シンフォニー・ブラス
録音1991年1月
カップリングコープランド 市民のためのファンファーレ 他
「BRASS AMERICANA」の一部
発売Regis
CD番号RRC 1209


このCDを聴いた感想です。


 もともとはオルガン曲である、この「アメリカの主題による変奏曲」は、W.シューマンが編曲した管弦楽版がよく演奏されます。某「展覧会の絵」以上に、原曲よりも編曲の演奏頻度が高いのではないでしょうか。わたしが持っている15種類の演奏の中でも、10種類ある管弦楽版全てがシューマン編曲のもので、原曲はたった2種類だけです。
 残りの3種類の中で、1つは以前取り上げたピアノ版(ドイッチュ編曲)です。また、もう1種類は吹奏楽版、そして最後の1つが今回取り上げるブラスバンド版です。
 吹奏楽版とブラスバンド版というのは、どこが違うんだと思われる方もいらっしゃるでしょうが、まず編成がかなり違います。吹奏楽というのは学校などでよく見かける、クラリネットなどの木管楽器+金管楽器や打楽器という編成なのに対して、ブラスバンドは木管が入らず、金管楽器と打楽器のみの編成です。さらに、この曲に関しては、編曲も大きく異なっています。吹奏楽版の方は、おそらくW.シューマンの編曲を基にしていて、打楽器の使い方などほぼ同じです。一方、ブラスバンド版の方は、おそらく原曲から直接編曲しています。第1変奏に繰り返しがあったり、第5変奏のW.シューマン版では軽やかなトランペットの旋律が、チューバで重く演奏されたりと、W.シューマン版に無く原曲のみにある特徴が見られます。
 聴いた時の印象も大きく違います。
 この違いは、まさに原曲とW.シューマン編曲版との印象の違いになっています。吹奏楽版は全体的に華やかで、たしかにW.シューマン編曲版の延長に位置しています。それに対して、ブラスバンド版は、重厚で澄んだ響きを聞かせていて、これはオルガンによる原曲の系統です。
 そもそも、編成自体かなり小規模なのかもしれません。打楽器は入っていませんし、音の数もだいぶ少ないようで、もしかしたら金管五重奏か、それに多少人数を加えた程度ぐらいに聞こえます。
 一方、原曲のオルガンと異なり、動きはかなり軽快です。
 オルガンの場合、響きに厚みがあるのはよいのですが、動きまで重厚になってしまいますが、金管楽器の場合は、機動性が良く音にキレがあります。
 原曲の荘重な雰囲気はそのままに、全体的に動きを良くしたようで、W.シューマン編曲系統とは異なる、一味違う演奏となっています。
 ちなみに、演奏している「ロンドン・シンフォニー・ブラス」はロンドン交響楽団の中心奏者が集まった団体で、指揮者のエリック・クリースもロンドン交響楽団の首席トロンボーン奏者として20年間(首席以外も含めると27年)活躍していました。(2011/9/10)


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