指揮 | ズービン・メータ |
演奏 | ロサンジェルス・フィルハーモニック管弦楽団 |
録音 | 1975年5月 |
カップリング | バーンスタイン 歌劇「キャンディード」序曲 他 「ZUBIN MEHTA - A SEVENTIETH BIRTHDAY TRIBUTE」の一部 |
発売 | UNIVERSAL(DECCA) |
CD番号 | 475 7470 |
響きに厚みがあるゴージャスな演奏です。 厚いといっても、重厚といった重さはなく、金管の響きを前面に出し、打楽器類も強めに入り、明るく派手に鳴らしています。 木製ではなく全金属製といったところで、明快でパリッとした響きです。まあ、メータとロス・フィルらしいというか、スパッとストレートな音は聴いていて気持ち良く、いかにもアメリカンな雰囲気があります。 スタッカートも短めで、速い動きも軽く、しかもテンポにきっちりはまっているところがまた機械のようで、このメカニカルなところも、軽さにつながっています。 その一方で、少し意外だったのが第5変奏のトランペットです。 2本のトランペットが交代で吹いて、まるで一つのメロディーのように聞かせるこのソロは、アクロバティックな動きといい、曲の中でも最も派手な見せ場の一つです。 それまでいかにも派手好みのアメリカンな演奏でしたから、このソロこそ思いっきり明るく派手にやるのかと思っていたら、そうではありませんでした。 音色は明るいのは明るいのですが、ギラギラとした派手なものではなく、むしろ深みのある落ち着いた音色です。歌い方もこれみよがしに聞かせるのではなく感情を抑えた穏やかな歌い方で、他の変奏と比べると、逆に清涼剤と言って良いほどです。このトランペットのソロはやりすぎるとくどくなるので、このぐらいがちょうど良いのでしょう。 また、もう一点、他の演奏とは異なる点があります。 それは冒頭の第1変奏が終わって、金管による主題が登場し、ワンフレーズ終わった後に入る合いの手の打楽器です。 楽譜では「Bells」という指定のある楽器で、たいていチリンという鈴っぽい高く澄んだ音が使われていますが、それがこの演奏ではチャイム(チューブラーベル)で演奏されています。最初のチーンという一発だけの音も、その後のトリルも同様です。 鈴のかわいい音を予想していたら、いきなり低い太い音でゴーンが聞こえてきたものですから、ちょっとびっくりしました。それにしても、一発だけの音はまだしも、その後のトリルはチャイムの音ではちょっと重すぎて、ちょっと合っていないと思いました。(2008/7/26) |