C.E.アイヴズ 「アメリカ」の主題による変奏曲

編曲:ウィリアム・シューマン

指揮クルト・マズア
演奏ニューヨーク・フィル
録音1991年11月14〜16日
カップリングブラームス ハイドンの主題による変奏曲 他
発売TELDEC
CD番号9031-74007-2


このCDを聴いた感想です。


 この曲の第5変奏は、ストラヴィンスキーのペトルーシュカの第3幕「ムーア人の部屋」の踊り子のテーマのごとく、トランペットが華やかに飛び回るのですが、この演奏で最も印象に残ったのはその部分です。
 といっても、華麗だから印象に残ったのではありません。
 とにかく力を全く入れて無いかのように軽いのです。
 以前、同じ曲のシュワルツの演奏の時も軽いと書きましたが、この演奏はシュワルツの演奏よりもテンポが大幅に速い分だけさらに軽く感じます。
 もちろんテンポが速いと難易度も一気に跳ね上がるはずなのですが、微塵も難しさを表に出さず、まるで子供でも吹けるかのように易々と滑らかに吹いています。
 この部分のトランペットは、楽譜上は、途中で何度か第1奏者と第2奏者が交代して演奏することになっていますが、繋ぎ目が全くわからず、あたかも一人で吹いているかのように聞こえるほど、ムラ無く均等な音色です。これはもしかしたら、実際、交代で吹かずに一人で全て吹いてるのかもしれません。

 全体としても、テンポが速いこともあって、明るく軽い演奏です。
 ただ、明るいといっても、華麗さはあまりありません。
 それぞれの楽器の音色を前面に出して原色をそのまま塗ったような鮮やかさではなく、音色は調和が優先され、中間色系の淡い色合いです。雰囲気も、いかにもアメリカーンといった感じの派手でカラッとした雰囲気というよりも、むしろ落ち着いてしっとりとまとまっていて、どちらかというとアメリカの曲というよりもヨーロッパ系の曲を聴いているような気になってきます。
 重さはそれほどないため、軽くフワフワした感じがするのですが、音にはキレがあり、アンサンブルが締まっているので、ピンボケした写真のようにぼやけていなくて、フンワリとしていながらも、輪郭はシャープでクリアに聞こえます。
 ニューヨーク・フィルという最もアメリカを象徴するようなオーケストラでありながら、個人のスタンドプレイを抑えて調和を重視したこの演奏を聴いていると、まるでヨーロッパのオーケストラのように思えてきます。
 これも、やはりマズアの力によるものが大きいのでしょう。
 もっとも、細かい部分に注目して聴くと、個人技の高さとパワー溢れる自信に満ちた弾きっぷりは、まぎれもなくニューヨーク・フィルならではのものですね。(2004/4/3)


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