指揮 | クリストフ・フォン・ドホナーニ |
演奏 | クリーブランド管弦楽団 |
録音 | 1992年5月 |
カップリング | ヴァレーズ 「アメリカ」 他 |
発売 | DECCA |
CD番号 | 443 172-2 |
アイヴズの最後の交響曲にあたります。 アイヴズの曲は、本人が作曲を本業としていなかったこともあり、生前はあまり演奏される機会がありませんでした。 その中でも、この1916年に作曲された第4番が全曲初演されたのは、1965年。 作曲からほぼ半世紀経っており、アイヴズ自身が世を去ってからも11年たっていました。 この曲は、形式上は四楽章形式ですが、2,3,4楽章がそれぞれ、12分、8分、9分あるのに対して、第1楽章は3分半程度の長さしかありません。 この第1楽章は、序章に近い位置付けだと思うのですが、他の楽章とかなり違っています。 最も大きいのは、第1楽章だけ合唱がメインで入っていることです。 他にも第4楽章で一部出てきますが、ほとんどホルストの「惑星」の海王星の女声合唱を出番を大幅に減らしたような使われ方です。 この第1楽章での合唱は単旋律で荘厳な雰囲気であるため、ほとんどグレゴリオ聖歌のようです。 第2楽章は、わたしが感じているアイヴズのイメージに一番近い曲調です。 テンポも拍子も全く違うたくさんの旋律が、一見無秩序に入り乱れている……ただ、それぞれのメロディー自体は聞きなれたメロディーばっかり…… という、イメージです。 多調ここに極まれリという感じですね。 第3楽章は、第2楽章の無秩序な状態から一変して弦楽主体のメロディーとハーモニーが主体のしみじみとした曲調になります。 なんだか、マーラーの交響曲第5番のアダージェットみたいです。 第4楽章は、また第3楽章とはちょっと趣がことなり、安定した雰囲気から、不安定な雰囲気に変わります。 第2楽章が無秩序で、多調の要素が強かったのに対して、この第4楽章は不安で無調の要素が強くなっています。 テンポ自体もLargoと、非常にゆっくりしているうえ、最初はピアノから始まって、徐々に大きくしていくだけの展開ですので、曲調とあいまって奇妙な迫力を生み出しています。 アイヴズは、これから注目してみようと考えている作曲家の一人です。(2000/6/2) |