C.ドッパー ゴシック風シャコンヌ(Ciaconna Gotica)

指揮ウィレム・メンゲルベルク
演奏アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
録音1940年4月9日
発売及び
CD番号
AUDIOPHILE(APL 101.541)
AUDIOPHILE(APL 101.554)
TELDEC(243 723-2)
ANDANTE(2966)
ARCHIVE DOCUMENTS(ADCD.119)


このCDを聴いた感想です。


 シャコンヌといえばバッハのものが有名ですが、もともとはスペイン系の3拍子のゆったりとした舞曲で、低音がずっと一定のパターンを繰り返してその上で主題がいろいろと変奏していくという、変奏曲の一種です。管弦楽曲ではブラームスの交響曲第4番の終楽章や、ハイドンの主題による変奏曲の最終変奏がその典型でしょう。ブラームスの2曲については本当はシャコンヌというよりもパッサカリアらしいのですが、それほど大きな違いは無いようです。
 一方、この「ゴシック風シャコンヌ」ですが、ゆったりとはしていますが、そもそも主題は3拍子ではありません。
 たしかに楽譜を見たことがあるわけではないので間違いないとは言い切れませんが、よほどシンコペーションで変なつなぎ方をしているのでない限り、まず3拍子ではなく、2拍子か4拍子、もしくはそれらが複合された変則的な拍子だと思います。
 というか、主題となっているのは「怒りの日(Dies Irae)」。ベルリオーズの幻想交響曲の終楽章を代表としていろいろな作曲家によってよく引用される有名なテーマです。
 正確にはそのままの形で使われているのではありませんが、雰囲気はほぼイコールですし、おそらく一種の変形ではないかと思います。
 拍子こそ3拍子ではありませんが、低音が同じパターンを繰り返すというのはほぼ守られていて、この辺りがシャコンヌらしいところでしょう。
 演奏時間は、20分弱と結構長く、変奏もいろいろ変化に富んでいます。
 最初の二つ三つは、変奏曲には割と多い、伴奏がどんどん細かい動きになっていくタイプで、メロディー自体はほぼ原型を保っています。
 途中で3拍子に変わったり、哀愁漂う緩やかな音楽になったりと、少し変化の幅が出てくる辺りから徐々にドッパーらしさが発揮されてきます。
 ちなみに、ドッパーの魅力とは何かというと、わたしは明快だけど静かで少し幻想的な雰囲気だと考えています。(一部の曲を聴いただけの私見ですが)
 特に、わたしが最も素晴らしいと思ったのは、中盤に登場する明るい変奏です。
 グロッケン(鉄琴)を中心とした高音楽器が細かい音符で伴奏する中、中低音の楽器によるゆったりとしたメロディーが登場し、静かにして明るく、早朝の湖から朝もやが太陽の光を浴びながら立ち昇っていく光景のようにキラキラしています。
 同じドッパーの交響曲第7番の第3楽章に近い雰囲気で、綺麗なのに気持ちがだんだん高揚してくる音楽です。

 さて、「シャコンヌ」の前についている「ゴシック風」ですが、これもいろいろな解釈があると思います。
 もともとはゴート風から来たらしく、粗野という意味もあるようですが、この曲の場合は、主題が主題だけにおそらく「荘厳」とか「太く角張った」とかそういった意味合いなのではないでしょうか。
 少なくとも曲を聴いた感じでは、そういう印象を受けました。

 一方、演奏の方ですが、メンゲルベルク以外に演奏は無く、さらに総譜も無いこともあり、どれくらい楽譜に忠実なのかはわかりません。
 ただ、テンポは割と一定に保たれているので、それほど大きくは楽譜から外れていなくて、標準に近いのではないかと思います。
 録音は、1940年のスタジオ録音ですから、雑音だらけではありませんし、細部もまあまあ分かり、雰囲気もそれなりに出ています。
 もちろん鮮明というのには遥か遠く、まあ年代相応といったところでしょう。

 先ごろ、AUDIOPHILEより別録音とされる1943年3月25日の演奏が、交響曲第7番などとのカップリングでCD化(APL 101.554)されましたが、わたしが聴いた限りでは、この1940年の演奏と同じものだと思います。リマスタリングが大きく違うので間違いないとは言えないでしょうが、細かい部分まで一致するためおそらく同一の演奏でしょう。(2005/2/19)


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