C.A.フランク 交響的変奏曲

指揮アンドレ・クリュイタンス
独奏ピアノ:アルド・チッコリーニ
演奏パリ音楽院管弦楽団
録音1953年6月15日
カップリングP.I.チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番 他
「Andre Cluytens Accompagnateur」の一部
発売EMI
CD番号5 73177 2


このCDを聴いた感想です。


 独奏ピアノ、オーケストラ共に硬さと鋭さが大きな特徴です。
 特に、チッコリーニの独奏ピアノは、輪郭は硬く鋭くハッキリしている上に、音色には透明感があります。ギラギラとした輝きではなく、澄んだところが、宝石というよりももっとシンプルなクリスタルを連想させます。
 音の硬さと鋭さからいったら、鍵盤をそうとう力を入れてしっかりと叩いているはずなのですが、音の濁りなどの荒さはなく、常に涼しげに澄んでいる音色なのには驚きました。
 その一方で、音色が澄んでいるために、情熱といった感情は表にはあまり出ず、どちからというと冷たい感じがするのですが、だからといって表現に起伏が無く冷淡というわけではありません。
 テンポの変化や強弱の変化をつけることで、台詞が無くても伝わるパントマイムのように、表現しようとしている音楽は十分に伝わってきます。
 もちろん、その変化も、露骨につけることで大げさに表現するのではなく、逆に繊細な変化により細やかに表現しています。節度を保ち極端に走らないため音楽が上品で、微妙な変化で聞かせるところなど、なんだか貴族的という言葉が思い浮かびます。
 一方、オーケストラはといえば、硬さと鋭さに、フランスのオーケストラらしい薄さが加わっています。刃を寝かせたナイフといったところでしょうか、上下には薄く、横には幅広い、それでいて硬く鋭い響きです。
 ドロドロとした濃さがなく、サラッとしているところは独奏のピアノと共通しているのですが、オーケストラにはさらに力強さが加わっています。
 クリュイタンスの演奏というと、センス良くまとまっていて、力に物を言わせるような演奏とは一線を画しているという印象があったのですが、この演奏では、意外なほど力が入っています。響きが分厚いわけではないので重くはありませんが、フォルテでは、アタックを効かせて鋭く叩き込んでくるなど、けっこう思い切った表現を見せています。
 硬さが特徴の演奏ですが、無骨ではなく十分に洗練されています。(2007/12/22)


サイトのTopへ戻る