C.A.フランク 交響的変奏曲

指揮ウィレム・メンゲルベルク
独奏ピアノ:ワルター・ギーゼキング
演奏アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
録音1940年10月13日
発売及び
CD番号
キング(KICC 2061)
ARCHIVE DOCUMENTS(ADCD.114)


このCDを聴いた感想です。


 この曲は、管絃楽曲として分類されることが多いのですが、ピアノパートの比重の高さを考えると、どちらかというと協奏曲の方に近い曲といえるかもしれません。
 メンゲルベルクの協奏曲の録音を聴くと、多くの場合、ソリストが指揮者であるメンゲルベルクに引きずられて、いかにも弾きづらそうに弾いています。
 これは、メンゲルベルクの音楽が、旋律を濃厚に歌わせてテンポを頻繁に揺り動かす傾向が強く、しかもソリストがどういう音楽を志向していようとも頑固に自分の音楽を守っているため、ソリストの方もある程度それに合わせて無理をしているという理由もあると思います。
 ところがこの演奏では少し様子が異なります。
 この曲には、ピアノだけが演奏する部分も結構多いのですが、ソリストのギーゼキングは、そういう部分も、かなり大胆にテンポを動かし、一音一音にこだわった濃厚な表情付けをしています。
 その自己主張の強さは、ほとんど、他の演奏のメンゲルベルクと良い勝負です。
 それに対して、逆に、この演奏のメンゲルベルクは、むしろ控えめで伴奏に徹しています。
 これは曲の性質もあるのでしょうが、テンポ変化も楽譜の指示にほぼ忠実で、フレーズの終わりだからといって無闇にテンポを緩めたりはしていませんし、旋律の歌わせ方にしても、細部を強調するのではなく、全体見通したもっと大きな単位でフレーズをとって歌わせています。
 もちろん、そうは言ってもメンゲルベルクですから、アレグロのような速いテンポの部分はより速めにして、遅いテンポの部分との差を大きくすることでメリハリをつけていますし、稀にポルタメントが顔を覗かせたり、短い音符を歯切れよくスパスパと切り、畳み掛けるような勢いを感じさせる点は、十分にメンゲルベルクらしさがあります。
 しかし、この演奏においてはあくまでも主役はギーゼキングで、ギーゼキングのピアノは、常にオーケストラよりも浮き出ていて、オーケストラもソリストに対抗するのではなく、ソリストをサポートして、より引き立たせています。

 録音は、1940年代のライブという点を考えると、同時期のスタジオ録音に較べると細部の鮮明さには劣りますが、まあ年代相応といったところでしょう。
 CDは、わたしの知る限りでは、キングとArchiveDocumentsの二種類があるのですが、キングの方は音がかなり篭り気味で、ArchiveDocumentsの方が鮮明で聴きやすいように感じました。
 ただ、このArchiveDocumentsのCDは、トラックの切り方が無茶苦茶で、カップリングされている協奏曲なんかは、楽章と楽章の間がアタッカでもないのにトラックが切れていたり切れていなかったり、さらに楽章の途中でトラックが切ってあったりさえするので、聴くときには注意が必要です。(2002/9/27)


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