C.A.フランク 交響曲 ニ短調

指揮アルトゥール・ロジンスキー
演奏ウィーン国立歌劇場管弦楽団
録音1954年6月27日・7月11日
カップリングフランク 交響詩「呪われた狩人」
発売MCAビクター(Westminster)
CD番号MVCW-18003


このCDを聴いた感想です。


 この演奏は、ロジンスキーの特長である、アレグロでの突進するような激しさも、もちろんあるのですが、それ以上に、メロディーの歌わせ方が印象に残りました。
 異常にギラギラと輝いてて、行き過ぎと思えるくらい表情が豊かなのです。
 これは、単にメロディーを良く歌っているという域を超えて、これでもかこれでもかとばかりに、聴く者に訴えかけています。
 特に、第2楽章のイングリッシュホルンのソロを聴いた時には、驚きました。
 まるで、まとわりついて哀願しているみたいに、しつこいくらい情感たっぷりに粘りついてくるのです。
 こう感じさせる一番の要因は、一つ一つの音の歌わせ方とビブラートにあります。
 まず、歌わせ方の方ですが、音の中間を妙に膨らませて演奏しています。
 音が入ってくる時にはアタックが無いみたいにフワッと入ってくるのに、入ってからは押すようにクレッシェンドさせて行き、最後にまたスッと抜くのです。
 この歌わせ方は、一昔前に古楽器の間違った奏法として評判の悪かったもので、音楽が大げさで嫌らしくなるのですが、その一方で、メロディーを良くも悪くも表情豊かにする事ができます。
 と、ただでさえ表現に大げさな傾向が強いのに、それに加えてビブラートが、また極端なのです。
 このビブラートは、ほとんどディスクが回転ムラを起こしてしまったのではないかと思えるほど強くかけられていて、既に適度の範囲を突破していた表情をますます濃く彩っています。
 こういう歌わせ方はロジンスキーにしては珍しく、他の演奏で聴くロジンスキーには、逆に、むしろ硬めでストレートな歌わせ方をするイメージがあるだけに、少なからずギャップを感じます。少なくともわたしは、ロジンスキーで、こういう濃厚な歌わせ方をしている演奏は他には聴いた覚えがありません。
 もしかしたらオーケストラが、今までわたしが聴いたことがあるロイヤル・フィルやニューヨーク・フィルといった英米系のオーケストラではなく、ウィーン国立歌劇場管という、独墺系のしかもオペラハウスを活動の中心としているオーケストラである事が大きく影響しているのかもしれません。
 たしかに、ほぼ10年前の1945年にニューヨーク・フィル響とこの曲を演奏したライブが残っているのですが、そちらはこの演奏のような過度なまでの表情付けはしていなくて、ずっとストレートに演奏しています。
 しかし、ロジンスキーは、どちらかというとオーケストラに対する締め付けが厳しいタイプのはずですから、オーケストラによって、そんなに表現に差が出るというのも少し不審な気がします。
 ただ、この歌わせ方、少なくともインパクトは十分に感じましたし、わたしは、こういう演奏は結構好きです(笑)(2003/4/19)


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