C.A.フランク 交響曲 ニ短調

指揮ヘルベルト・フォン・カラヤン
演奏パリ管弦楽団
録音1969年
カップリングドビュッシー 牧神の午後への前奏曲 他
発売東芝EMI
CD番号TOCE-3267


このCDを聴いた感想です。


 パリ管は、創設者ミュンシュ亡き後、一時期カラヤンを音楽顧問として招いていました。
 カラヤンはパリ管の音楽顧問に就任したことで、フランス、イギリス、イタリア、ドイツ、オーストリアの音楽界での主要な地位に占めることになり、まさしく「ヨーロッパ楽壇の帝王」と呼ばれるに相応しい権力を手にしたのです。
 ただ、さすがに手を広げすぎたようで、パリ管の音楽顧問は3年程でショルティに譲っています。
 また、あれほど録音好きなカラヤンにしては珍しく、パリ管とはこのフランクの交響曲を含めても数曲しか録音を残していません。
 たぶんよっぽど相性が悪かったんでしょうね(笑)

 さて、そんな貴重な演奏ですが、内容の方は「さすがパリ管!」と聴く者を唸らせてくれます。
 なにせ、カラヤンの指揮にもかかわらず、音の縦が揃っていません!(笑)
 もちろんミュンシュの頃と較べると揃っているのですが、他のオーケストラでのカラヤンからは考えられないぐらいバラけています。
 しかもこれでオーケストラは別に下手なわけではなく、一人一人はむしろ上手いのですから、もうあきれるを通り越して、笑えてきます。
 ……たぶん必死になって合わせようという意識が薄いんでしょうね〜 たぶん。
 この演奏を聞いていると、カラヤンがこのオーケストラからさっさと手を引いたのもなんとなくわかるような気がします。

 まあ、パリ管の合奏能力の話はともかく、全体の雰囲気は音色が明るいこともあり、あまり力み過ぎない華麗な演奏です。
 メロディーの歌わせ方も、あまり粘らせずにフレーズを大きめにとって波のように歌わせています。
 また、パリ管の良さである音色の華やかさが十分に活かされていて、色とりどりの鮮明な響きで満ち溢れています。
 特に第2楽章では、木管のアンサンブルがパリ管とは思えないほど(!)合っており、弦楽器の軽い音と相まって、幻想的な雰囲気を醸し出しているのです。
 さらに、カラヤンにしては珍しく金管楽器を大胆に使っており、フォルテの部分ではほとんど音を割るぐらいの勢いで強く吹かせています。

 以前、メンゲルベルクの演奏の時にも書いたのですが、このカラヤンの演奏は、第3楽章の300小節目で3拍子になって第2楽章のメロディーが戻ってくる部分で、譜面には無いメロディーの最初の一音を補っています。
 わたしはこの一音をぜひ入れて欲しいと思っているのですが、なかなかそういう演奏には巡り合いません。
 この演奏は、そんな願いをかなえてくれる数少ない演奏なのです。

 ただ、この演奏は録音に若干難があります。
 この頃のEMIの特徴なのかもしれませんが、全合奏でフォルテになるときに、マイクに音が入りきらず、割れてしまっているのです。
 特に金管が酷く、完全に濁って聞こえてしまいます。
 せっかく演奏がいいだけに、もったいない話です。

 もう一つついでに、この演奏……いや、このCDというべきですが、ジャケットに表示してある録音年月日が間違っています。
 ジャケットには1972年11月25〜27・29日と書いてあるのですが、他の資料を見るとカラヤンがこの曲を録音したのは1969年となっています。
 1972年の1月にはショルティに音楽顧問の地位を譲り渡しているのですから、これはほぼ確実に1972年の方が誤りでしょう。
 というわけで、この演奏は1969年の録音としておきます。(2001/6/1)


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