B.スメタナ 連作交響詩「わが祖国」

指揮カレル・アンチェル
演奏チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
録音1963年1月
発売SUPRAPHON
CD番号SU 3661-2 011


このCDを聴いた感想です。


 強くキレのある演奏です。
 さらに厚みを兼ね備えています。
 キレがあるといっても、テンポの速さなどのスピード感で押しているわけではありません。音の一つ一つを強く叩き込み、次の瞬間にはスパッと綺麗に揃えて切っているのです。
 響きに厚みがあるので重量感は十分、いや、むしろズシリと来るぐらい重いのに、その重さに引きずられること無く、鋭く動いています。
 第5曲の「ターボル」や第6曲の「ブラニーク」などは、その鋭さを存分に活かしています。
 第5曲の頭の、極端に強さを抑えて低音が重くリズムを刻んでいく部分なども、低音で抑え目ながらリズムがモゴモゴと曖昧になることは全く無く、強さは抑えていてもリズムはハッキリと刻まれています。
 途中からフォルテになって冒頭のリズムが今度は強く演奏される部分では、叩き込むように強くアタックを付けていても、勢いだけで荒く叩き付けるたりせず、締まった音で鋭く刻み、余韻だけ残してサッと引きます。
 伴奏の細かい音でもそれが徹底されているため、音の粒が非常に際立っています。
 さらに、楽譜のスラーとそうでない部分の違いなど、忠実というよりむしろ強調して大きく差をつけています。
 聞いている方としては、特に、スラーよりもそうでない部分のキレの良さが際立って聞こえます。
 特に第3楽章の「シャルーカ」の前半にある、金管の明るいファンファーレ風のリズムの後に出てくる8分音符で明るく刻むようなリズムで上下に何度も跳躍する動きと16分音符のスラーで流れるような動きが組み合わさったメロディーの扱いが印象に残りました。
 このメロディーは、8分音符の跳躍がスタッカート、16分音符がスラーという対比のパターンで何度か登場しますが、最後に16分音符の動きもスタッカートに変わります。このスラーがスタッカートになった時に明らかに別のものになったという印象を受けるのです。
 といっても、スラーがスタッカートに変わったといっても、スタッカートをことさら強調しているわけではありません。強調している点からすれば、アンチェルよりも極端にやっている演奏もあります。
 しかし、アンチェルのスタッカートは、メロディーの歌い方やスピード感がスラーの時とほとんど変わらず、音と音のつなぎだけがスラーからスタッカートに変わり、しかも粒がピタリと揃っているため、逆に違いが目に付くのです。
 十分な厚みと重さがありながら、これだけキレの良い演奏をできるチェコ・フィルの実力とそれをしっかりと引っ張っていくアンチェルの統率力に驚かされました。(2006/6/3)


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