B.ブリテン 青少年のための管弦楽入門

指揮ベンジャミン・ブリテン
演奏ロンドン交響楽団
録音1963年12月
発売キングレコード(LONDON)
CD番号KICC 8255


このCDを聴いた感想です。


 別名を『パーセルの主題による変奏曲とフーガ』というだけあって、パーセルの付随音楽「アブドゥラザアルまたの名はムーア人の復讐」のロンドの旋律を基にした変奏曲で、その変奏の一つ一つが青少年(というよりも小学生ぐらいの少年少女という方が正しいらしいのですが)への楽器紹介の曲になっています。
 このパーセルの主題である基となるメロディーは耳に馴染みやすいもので、それぞれの変奏も基のメロディーからは大きく姿が変わっているものもあったりしますがどれも親しみやすい雰囲気です。
 各変奏は楽器紹介がメインだけあって面白い楽器の取り合わせが多く、一つの楽器がソロでメロディーを演奏するパターンはもちろんのこと、木管全体とか弦楽器全体といったセクションによるものや、ハープによるもの、さらには打楽器のみによるものまであります。
 その打楽器もよく使われるティンパニー、大太鼓、シンバル、トライアングル、シンバルといったものだけではなく、木琴やタンバリン、はては木魚やタムタム、鞭まで登場します。
 この一曲で、打楽器の中で比較的使用頻度が高いものの9割以上は紹介できているのではないでしょうか。
 ブリテンの演奏はそういう曲の性格を反映してか楽器の音色をあまり合わせたりせず楽器固有の音色をダイレクトに出させています。
 そのためまとまった響きではありませんがメロディーがよく浮かび上がり、さらに内側に固まらない分響きに拡がりがあります。
 パーセルの主題自体は短調系のメロディーなのですが、ブリテンによる変奏はほとんどが明るいもので、演奏の方も拡がりのある響きがそれに合い、色彩豊かな華やかな音楽になっています。
 そして、その拡がった響きは最後にまとまります。
 この曲の最後の部分はフーガで、速いテンポの4拍子でメロディーがフーガの形式で次々と登場しメロディーが絡み合うのですが、そのフーガの背後から四つ拍子が入った一小節そのものを一拍とした大きな3拍子のテンポで冒頭のパーセルの主題が雄大に登場します。
 このパターンはわたしの最も好きな展開の一つで、チャンスの『朝鮮民謡の主題による変奏曲』でも全く同じ手法が使われており、その曲もやはり好きな曲の一つです。(知ったのは、実は『朝鮮民謡〜』の方が先でしたし)
 悠然と登場したパーセルの主題にそれまで前面で速い動きをしていたフーガが集約されていき、ついにはパーセルの主題だけになり最後の伸ばしの和音に到達するのですが、その最後の和音へのもって行き方が上手いのです。
 複雑に絡み合った音楽が最後にパッと一つにまとまった瞬間、一体となって調和した響きに、月面宙返りが見事に決まったような爽快な気持ちになりました。
 ちなみにこの曲は楽器を紹介するために解説をつけながら演奏する場合もあるのですが、この演奏では解説はつけていません。
 個人的には、せっかく作曲者本人による指揮なのですから解説して欲しかったところですが。
 ついでに全くの余談ですが、このパーセルの主題であるメロディーは、わたしはこの曲を聴く前から聞いたことがありました。
 といっても、オリジナルのパーセルの付随音楽を知っていたわけではありません(というか未だに聴いたことがありませんし)。
 実は、某「ウィザードリィ」というゲーム(わたしがやったのはたしかVIだったかな?)のタイトル画面での音楽がこれでして、なにを隠そうこのブリテンの曲を初めて聴いた時「なーんだ、このメロディーってウィザードリィの曲じゃないか」などと思ってしまったのは、クラシック愛好家としてそれはどうかという気もしますが(笑)(2004/5/29)


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