A.ヴォールモレン シンフォニア

指揮ウィレム・メンゲルベルク
演奏アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
録音1940年10月31日
発売及び
CD番号
ARCHIVE DOCUMENTS(ADCD.119)
AUDIOPHILE(APL 101.554)


このCDを聴いた感想です。


 交響曲の小型版といったところでしょうか。
 全3楽章で演奏時間はトータルで20分弱くらいの曲です。

 第1楽章は「序曲」と名前がつけられていて、「緩−急−緩−急」という構成になっています。
 いきなり冒頭からフォルテでコラールのように和音が連続するというえらく荘重なものです。
 で、その重い展開がずっと続くのかと思いきや、その雰囲気はあっという間に終わってしまい、すぐに「急」の部分に入り、そこからは雰囲気がガラッと変わります。
 活発で明るく、伸び伸びとした音楽で、楽しげな雰囲気に一転します。途中で短調系のメロディーも出てきますが、「緩」の時のような深刻な暗さは無く、昼間が夕方になった時ぐらいにちょっと哀愁を帯びるぐらいで、全体としては秋空のような高く抜けるような爽やかな気持ちを感じられる曲です。
 途中で出てくる「緩」とその次の「急」も、調やメロディーが多少異なるものの、雰囲気としては一回目の「緩−急」の繰り返しみたいなものです。

 第2楽章は、「Larghetto」とCDのリーフレットには書いてありますが、これはおそらくこの楽章のテンポをそのまま書いたのでしょう。
 この楽章は、ほぼ全編叙情的な雰囲気で貫かれています。
 ゆったりとしたメロディーがひたすら続き、途中で盛り上がる部分はあるものの、だいたいずっと落ち着いています。
 基本は短調系で、重苦しいというほどではないのですが、曇り空のように少し憂鬱で、何となく沈み気味の雰囲気なのですが、ここで光となっているのが途中でたまに登場する長調の部分です。
 もともと曲調が叙情的ですから、第1楽章のように手放しの抜けるような明るさではありませんが、雲の間から光が差したみたいに、清明な雰囲気があり、心洗われる気分になってきます。
 途中で盛り上がる部分は、長調とはいえ力強くなるのでさすがに清明ではなくなり、テンポが遅い分堂々としていて、ちょっとオランダ国歌に似た雰囲気があります。

 第3楽章は、「終曲」とタイトルがつけられていて、速いテンポなのですが、途中でテンポを遅くしてまた戻すというパターンが多いので、あまり一定のテンポでポンポンと進んでいくといった快活な雰囲気ではありません。
 ついでに、実は、三つの楽章の中で最も演奏時間の長い楽章でもあります。
 メロディーは、流れるようなものもあるのですが、全体としては、短いスタッカートの音でタカタカタカと刻むように動いていくメロディーが中心という印象を受けました。
 音階を順に上ったり降りてきたりするパターンが多いちょっとコミカルなもので、面白いことにそういうメロディーの最後は、ちょこっと折り返していたり、「ファミレド」ではなく「レミシド」といったように丸まっている事がよくあります。
 この最後のちょっとした処理でずいぶん落ち着いて安定した雰囲気になっています。
 流れるようなレガートのメロディーの方は、スタッカートのメロディーに対して情感が豊かで、同じ傾向の第2楽章メロディーと較べてテンポが速い分、もっと積極的に強く訴えかけて来ます。
 この楽章は、終曲ということもあって、動きの激しい派手な曲調で、特に最も盛り上がる部分は、かなり力が入っていて、金管を中心に力強く輝いています。
 曲自体が短いので、盛り上がる部分はそう長く続くわけではなく瞬間的なものですが、他ではあまり出てこない2拍3連符を強調したりと、なかなか印象的でした。

 さて、メンゲルベルクの演奏ですが、他の演奏が無いので比較しようが無いのですが、おそらく楽譜に指定してある以外はほとんどテンポ変化させていないようですし、割合楽譜に忠実に演奏しているのではないでしょうか。
 もちろん、スタッカートはより短く、レガートはより滑らかにといった強調はしているでしょうから、たぶんドラマチックな傾向が強まっていると思います。
 録音も、1940年のライブにしてはかなり良く、雑音も少なくかなり聴きやすいものです。(2004/10/16)


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