A.スクリャービン 交響曲第4番<法悦の詩>

指揮ロリン・マゼール
演奏クリーブランド管弦楽団
録音1978年5月
カップリングスクリャービン ピアノ協奏曲
発売LONDON
CD番号417 252-2


このCDを聴いた感想です。


 とても曲をつかみやすい演奏です。
 トランペットの印象的なメロディーを中心に、他の楽器にもいろいろ表れてくるメロディーをそれぞれ強調してあり、曲の流れがよくわかります。
 さらに、アンサンブルが揃っているため、細かいゴチャゴチャした動きも細部までわかり、音程も不安定なところがなく各奏者がしっかりと出しているため、あいまいなところがありません。
 使い古された言い方ですが、まさしく、スコアが目の前に浮かんでくるようです。
 ただ、その反面、どんな裏の部分も残らずスポットライトで明々と晒したようにはっきりとしすぎて、超自然的なイメージを湧き起こすような「神秘性」はほとんど感じられません。
 副題にある「法悦」から連想される、感情が理性を超えた爆発的なカオスよりも、理性が遥かに勝った整然とした秩序があります。
 神秘の感じられない「法悦の詩」なんて、スクリャービンではないと言われそうですが、これはこれでなかなか楽しめます。
 理知的といっても、楽譜通りの音を出す事に専念した覇気の無い演奏ではなく、高層ビルディングのような巨大な人工建造物のごとく、明快でありながら強いエネルギーを感じさせます。
 特に、金管の音は輝きがあり、曖昧な部分が無いだけに、余計圧倒される思いがします。
 それに、スクリャービンが曲に仕掛けた、序奏部や呈示部等の部分ごとの拍数の綺麗な比例関係といった、構造的な点もよくわかるというのも、うれしいところです。(2003/8/16)