A.グラズノフ 交響曲第1番 ホ長調

指揮ネーメ・ヤルヴィ
演奏バイエルン放送交響楽団
録音1983年12月19〜22日
カップリンググラズノフ 交響曲第5番
発売日本フォノグラム(ORFEO)
CD番号32CD-10069(C 093 101 A)


このCDを聴いた感想です。


 グラズノフの交響曲は全部で8曲(+スケッチ)ありますが、どれもわたしにとって素直で聴きやすく、なかでもこの第1番はもっとも耳になじみやすい曲でした。
 ロシアの作曲家なのにあまりロシアっぽい荒々しさがなく、なんだかドイツあたりのロマン派の曲を聴いているような気がしてきます。
 特に第1楽章の冒頭が、3拍子の小節二つ分を三つ(12,31,23)に分けるいわゆるヘミオラのリズムで、わりと華々しい雰囲気というあたりも、早い話がシューマンの交響曲第3番<ライン>の冒頭に良く似ているためよけいにそう思ったのかもしれません。
 メロディーや響きもさっぱりとした明るいもので、チャイコフスキーのような哀愁に訴えかけてくる情緒的なものとは、夏と冬ぐらいにほとんど正反対です。いや、グラズノフの方は、暑苦しくなくのびのびとしている辺り、どちらかというと春っぽいかもしれませんが。
 たいへん素直で明快な雰囲気があり、楽しく聴ける曲です。
 第2楽章はスケルツォですが、これは明るさはそのままに少し淡く穏やかにしたような雰囲気で、メンデルゾーンの交響曲第3番<スコットランド>の第2楽章に近い、涼しげな感じがします。
 唯一のゆっくりとした楽章である第3楽章は、緩徐楽章ということもあり、落ち着いた雰囲気です。少し暗めですが、弱弱しくはなく、重くじっくりと進んでいきます。
 第4楽章は、全曲でもっとも激しい楽章です。あまりロシアっぽさを感じないこの曲の中で、たぶんもっともロシアらしい力強さが表に現れています。メロディーもポーランド民謡から取られているらしいので、それもそう感じる理由の一つでしょう。テンポ良く突き進んでいき、こういうところもわたし好みです。ただ、最後の曲の終わり方は、ちょっとどうかなと思いました。少しあっさりと終わりすぎで、個人的にはもっと盛り上げてそれを引っ張って欲しかったところですね。

 ヤルヴィの演奏も、ヤルヴィ本人はエストニアの出身ですからまあロシアに近いところですがあまりロシア風を強調したものではなく、響きを上手く整え、メロディーも変に誇張したりせず穏やかに歌わせています。どちらかというとバイエルン放送響のスタイルを前面に打ち出した演奏で、ヤルヴィはその実力をうまく引き出しているのではないでしょうか。

 そういえば、この交響曲第1番は、作品番号が『5』と非常に若いのですが、若いのも道理、グラズノフがまだ17歳の時の曲なんですね。日本でいえばまだ高校2年生でこれだけ完成度の高い曲を作ったわけですから、これは驚かされました。(2005/4/16)


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