A.グラズノフ バレエ音楽「四季」

指揮アレクサンドル・グラズノフ
演奏交響楽団
録音1929年6月10・13・14日
カップリンググラズノフ 交響曲第7番
発売Pearl(Columbia)
CD番号GEMM CD 9404


このCDを聴いた感想です。


 グラズノフが自ら指揮した演奏です。
 1929年と古い時代の録音ですが、音は思ったほど悪くありません。さすがに楽器が一度に多く出てくるフォルテの部分は音がマイクに入りきらずごちゃ混ぜになり多少割れ気味ですがまあ聴きやすく、ましてやピアノの部分なら、当時の録音としては優秀でわりとまともに聞き取れます。
 演奏の方も、それほど奇をてらったものではありません。
 作曲家自身が指揮をしているのですから当り前といえば当り前なのですが、テンポの動かし方もほぼ楽譜の指示どおりで、それに多少色をつけている程度でしょう。激しく感情を込めたり、無骨に硬く突き進めたりもせず、基本的に穏やかに柔らかく進めています。
 この演奏で、一番印象に残ったのは木管のソロです。
 演奏しているのは、単に『交響楽団』としか書かれていない、怪しげなオーケストラなのですが、少なくともソロに関してはかなりのものだと思いました。
 音色もなかなか色彩豊かで、なにより歌い方が生き生きとしています。
 硬いところは跳ねるように硬く、柔らかい部分は流れるように吹いてしかもほとんど乱れがありません。それほど華やかな音色ではなく少し深めですが、それがいかにも自然の描写を感じさせる優しい雰囲気なのです。
 こういうソロは録音の古さが障害となりにくいのでよけい良さが映えたのかもしれません。
 さらに、弦楽器も録音が古いため若干響きは薄めですが、力がこもっていて、特にメロディーを大きく歌わせる部分のスケールの大きさは、なかなかのものだと思います。
 金管は少々怪しいところがあったものの、全体のテクニックは謎のオーケストラにしては意外としっかりしており、グラズノフの指揮にきちんとついていき、統一された表現ができているようでした。そう、始めの3楽章の「冬」「春」「夏」までは。
 なんだか最後の「秋」に入ったとたん、急にオーケストラが乱れてくるのですが……
 まるで「秋」だけ別のオーケストラに代わったみたいです。
「秋」は一番華やかなのでフォルテが多く、録音状態が悪いという不利な点もあるのですが、それにしてもそれまでの3楽章とは大きな差があります。
 弦楽器、木管楽器はまだマシなのですが、金管とパーカッションは酷く、特にパーカッションは、もしかしてわざとやっているんじゃないか? と疑いたくなるぐらいずれています。ほとんどライブ録音並ですね。
 他もひっくるめてテンポもかなり危なく、今一つグラズノフのやりたいテンポに上手く乗れず、遅れ気味になったかと思うと今度は逆に前に先走ったりと、どうも浮き足立っているのです。
 それでも、ある一部分や特定のパートだけに注目して聴けば、じっくりと歌わせていたり力が入っていたりするのですが、楽器によって表現にバラツキがあり、統一感が薄いためフォルテでも華やかというよりも雑然とした響きに聞こえてしまいました。
 まあ、これがもし「秋」だけを聴いたのであれば、録音年代を考えるとそんなものかと納得できたかもしれませんが、なまじ前の3楽章が良かっただけに、よけい「秋」の悪いところばかり目立ってしまうのでしょう。

 ちなみに、作曲者本人の指揮ですが後の慣例と同様に楽譜の一部をカットしています。(2005/7/2)


サイトのTopへ戻る