A.ドヴォルジャーク ヴァイオリン協奏曲 イ短調

指揮カレル・アンチェル
独奏Vn:ダヴィッド・オイストラフ
演奏プラハ放送交響楽団
録音1950年5月
カップリングドヴォルジャーク 交響曲第8番
発売Le Chant du Monde
CD番号PR 54006


このCDを聴いた感想です。


 やはりソロのオイストラフ。20世紀最高のヴァイオリニストの一人として数えられるのも確かに納得できました。
 実は、わたしはオイストラフにはなぜか今まで縁が無く、ほとんど聴く機会がありませんでした。とりたてて避けていたつもりはなかったのですが。
 いろいろ名演を残したヴァイオリニストですから、高い評判はいろいろ耳にしていたものの、いつでも聴けるから、とかなんとか考えて、ついつい後回しにしてしまったのです。
 そのため、どうもオイストラフについてこれといった具体的なイメージが想像できなかったのですが、この演奏を聴いてほんの少しはわかってきたような気がします。
 他の演奏はわかりませんが、少なくともこの演奏を聴く限り、音のキレの良さが非常に魅力的でした。
 音のスピードが速く、音が際立って聞こえるのです。またあいまいな部分が無く、太い輪郭でクッキリと浮かび上がっています。ほとんどテンポを崩したりしないこともあり、毅然とした印象を受けます。
 ゆったりとした第2楽章も、感情の赴くまま気ままに演奏したりはしません。かといって感情の全く入っていない冷たい演奏でもなく、硬めの毅然としたスタイルはそのままに、内側に感情を濃縮させ、そこから滲み出させるといった静かな表現です。樫の木のように硬いけれども暖かみが感じらます。
 しかし、楽章の中で最もすばらしかったのはというと、それは第3楽章です。
 他の二つの楽章よりも音のキレがさらに一段階上がり、しかもリズムが非常にいきいきとしています。
 このリズムは、ドヴォルジャークがスラヴ舞曲などでもよく使っていた、小節二つ分にまたがって3拍子のリズムを取るフリアントというシンコペーションのリズムで、どうしても後ろに引きずられて重くなりがちです。
 それがこの演奏では、伴奏しているのがチェコのオーケストラであるプラハ放送響であることもあってか、リズムがスムーズで、スピード感を保っています。
 この伴奏のプラハ放送響も、第1・2楽章では、どうもピッタリと揃っておらず、さらに録音状態があまりよくないこともあって、モワモワと半分霞がかかっていたような感じだったのですが、第3楽章に入ってからは、急にクリアになって(別に録音状態が向上したわけではありませんが)、リズムはクッキリし、音も跳ねるように活力にあふれ出します。
 ソロもその伴奏の上に乗って、全体としても、非常にのびのびと自由自在に跳ね回っています。あまり状態のよくない録音ですが、それでも豊かな表現はよく伝わってきます。
 全楽章通じて、ソロには表現・録音とも大満足の演奏です。伴奏は、霞がかっているのは半分録音のせいもあり、録音がもう少し良ければ印象も多少違ったと思われただけに、ちょっと残念でした。(2005/12/24)


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