A.ドヴォルジャーク 交響曲第9番 ホ短調 <新世界より>

指揮ジョージ・セル
演奏チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
録音1937年10月30日
カップリングドヴォルジャーク チェロ協奏曲
発売DUTTON(HMV)
CD番号CDEA 5002


このCDを聴いた感想です。


 セルの「新世界より」の録音は、だいぶ後の1959年に自らが音楽監督を務めるクリーブランド管とのものがありますが(それとは別にやはりクリーブランド管と1952年にモノラル録音を残しているらしいのですがこれはよく知りません)、この録音は、セルがまだクリーブランド管に就任する前、40歳という(指揮者としては)若手の頃、チェコ・フィルと組んだものです。
 後のクリーブランド管との演奏も有名ですが、隣のハンガリー出身のセルが、ドヴォルジャークのお膝元であるチェコ・フィルとの演奏ということで聴く前から楽しみな演奏でした。
 で、聴いてみたところ……やはり、チェコというよりも、まずセルの演奏という印象の方を強く感じました。
 響きをスッキリとまとめ、それぞれの動きを浮かび上がらせて全体の形を明確に聞かせようというのが基本のスタイルで、メロディーを思い入れたっぷりに歌わせるたりとか、テンポを動かして劇的な効果を出したりといったことをほとんどしていません。さらに、やたらと速いテンポで飛ばしたりもせず落ち着いていて、なんだか40歳にして、すでにクリーブランド時代に近い境地に達しているようです。
 ただ、その一方で、精度よりも力で押し切っている部分もあり、後の録音のような、凄みを感じさせるぐらいの純度の高いアンサンブルはありません。
 当時からチェコ・フィルは決して下手なオーケストラではないはずですが、この録音では、少し雑然としていて、アンサンブルが揃わず流れている部分がいくつか見られました。
 その代わり、抑えた歌い方の中にも郷愁が漂っていて、響きが暖かいところなどは、作曲者を肌で感じられるチェコ・フィルならではなのでしょうね。

 録音状態は、ティンパニーやシンバルが引っ込みすぎという不満はあるものの、細かい音まで詳細に聞こえ、1930年代の録音としてはかなり良い方ではないでしょうか。
 一つ面白いのは、この録音のほぼ半年前に、セルとチェコ・フィルという同じコンビ+カザルスでドヴォルジャークのチェロ協奏曲を録音しており、それはプラハのホールでなのに対して、この「新世界より」はプラハではなく、ロンドンのアビー・ロード・スタジオで行われています。もしかしたら、このスタジオで録音されたことが、細部まで鮮明に聞こえる要因なのかもしれません。(2005/3/12)


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