指揮 | |
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演奏 | |
録音 | |
発売及び CD番号 | キング(KICC 2058) ARCHIVE DOCUMENTS(ADCD.116) ARKADIA(HP 627.1) |
メンゲルベルクはコンセルトヘボウとはチェロ協奏曲は録音しておらず、このパリ放送管弦楽団とのライブが、おそらく唯一の録音でしょう。 このCDは「陶酔! メンゲルベルク 不滅のライブ」からの1枚ですが、キングレコードから出ていたこのシリーズは、ノイズを抑えるために生々しさが減りがちであんまり好きではないのですが、チェロ協奏曲は他ではCDになっておらず(本当は他の会社からもCD化されているのかもしれませんが、わたしは残念ながら見たことがありません)、意外と貴重なものです。 で、まず録音のほうですが、かなり厳しいです。 年代的にはかなり後の録音とはいえ、大戦末期のライブ録音で、しかもパリでの出張録音でしょうから、しょうがないのでしょうが、響きが非常に薄っぺらくなっています。 そのため、先ほども書いた通り、キングレコードの特性とも絡んでくると思いますが、ノイズは少なめなのですが、細かい部分が全然聞き取れず、ニュアンスが犠牲になっているように思われます。 また、金管が出てくるフォルテの部分は音が割れてしまっている上に、妙に金管ばっかり目立ち、バランスまでおかしくなっています。 ただ、ソロのチェロだけはさすがにフォルテからピアノまで綺麗に録音されていて、細かいニュアンスまでよくわかります。 演奏の方では、ソリストのメロディーの歌わせ方の上手さが際立っていました。 スケールは大きくないのですが(というか、録音が録音なのでハッキリと小さいとも言い切れませんが)、音の一つ一つに張りがあり、フレーズも一つの単位は小さいのですが、その中でいろいろな表情を聴かせてくれます。 ちなみにソリストのモーリス・ジャンドロンは日本とも関わりが深く、度々来日しており、チェリストとして以外にも指揮者として、群馬交響楽団とブラームスの交響曲第4番を録音していたりもするそうです。 さらに、このジャンドロンはメンゲルベルクに非常に心酔していたともいわれています。 オーケストラの演奏の方は、パリ放送管弦楽団というあまり聞き慣れないオーケストラですが、結構上手いように感じました。 さすがにコンセルトヘボウ管に較べると、音の切れの良さという点でだいぶ差があり、音が鈍いように聴こえます。ただ、これは録音にもよるのであまり決め付けられませんが。 ところで、このパリ放送管弦楽団というオーケストラは、他では全く聴いたことがありません。 当時のフランス国立放送管弦楽団(現在のフランス国立管弦楽団)とは………全然別でしょうね。たぶん…… んー、コロンビア交響楽団みたいに寄せ集めか、それともRCA管弦楽団みたいに変名なんでしょうか。 メンゲルベルクが指揮したオーケストラはそんなに多いわけではないので、とても気になるところです。(2000/8/18) ※追記:この録音は、TAHRAのディスコグラフィーなどにより、真偽が問われていましたが、なにぶん昔の録音であり確証がありませんでした。しかし2009年に、驚くべきことに今頃になって真録音が発見されたため、偽録音であることはほぼ確定しました。ただ、そうすると長らくメンゲルベルクとジャンドロンの録音だと信じられていたこの演奏は、一体どこの誰の演奏なのでしょうか。故意に復刻を古めているのでない限り、おそらく同時代の演奏だとは思いますが。これはこれで気になるところです。(2009/10/3) |