指揮 | オイゲン・ヨッフム |
演奏 | ドレスデン国立歌劇場管弦楽団 |
録音 | 1978年1月 |
発売 | EMI |
CD番号 | CDE7 67768 2 |
オイゲン・ヨッフムはブルックナーの交響曲全集を2回録音しています。 最初が、1960年代にグラモフォンへベルリン・フィルハーモニー管弦楽団と当時常任指揮者をしていたバイエルン放送交響楽団の二つのオーケストラを使い分けて録音し、もう一つがEMIにドレスデン国立歌劇場管弦楽団を指揮して録音したものです。 この録音は、もちろん二回目の全集の中の一部です。 交響曲第9番は、最初のグラモフォンへの録音の際にはベルリン・フィルハーモニー管弦楽団を指揮しているのですが、どちらにもそれぞれの良さがあります。 グラモフォンへの録音では、オーケストラがベルリン・フィルハーモニーということもあり、まとまりが良くカチッとした演奏を聴かせてくれます。 このEMIの時にはかなりゆとりを持って演奏しているように感じられます。 音楽の流れもより自然なものとなり、荘厳さよりも、むしろ暖かい雰囲気です。 安らいだ気分でこの曲を聴きたいときに良く聴いています。 しかし、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団は当時の東欧のオーケストラの中では技術に定評があるはずですが、この演奏ではあぶない箇所があちこちに見られます。 特にあぶないのが第2楽章のトリオの部分で、中でもヴァイオリンが速いパッセージで高音部にあがるとハラハラドキドキしてきます。 気分は浅草花やしきのジェットコースターに乗っているようです。(ローカルなネタでごめんなさい。関東以外の方に説明しますと、花やしきのジェットコースターとは古くて今にも壊れそうで、乗ってるだけでスリルが味あえる代物です。コースが民家にぶつかりそうなぐらい狭いコースを通っているところもポイントが高いです) ヨッフムのブルックナー交響曲第9番の演奏には一つ大きな特長があります。 それは、62小節目と63小節目の間で、2小節前ぐらいからテンポがだんだん遅くなって、そこで元のテンポに戻るところなのですが、ヨッフムはそこで、一瞬テンポを止めて空白を作り、次ぎのフォルティッシシモに入っています。 他の指揮者もテンポは遅くするのですが、空白を入れずにすぐ次ぎのフォルティシシモに入っていきます。 ヨッフムはそこに空白を入れることで、間をつくり、グッと緊張感を高めています。 わたしもわかっていながらも一瞬息を飲みます。 ほんのちょっとの事なんですが、それだけでもかなり演奏を引き立てています。 余談ですが、このCD「ENCORE」というシリーズの一つの輸入盤なのですが、むちゃくちゃ安かった記憶があります。 確か、1000円しなかったような… 一応EMIのマークがついているのですが、なんだか海賊盤みたいに見えます。 さらに、録音年月日さえ掲載されていないし、当然解説もありません。 しかし、曲名の部分で堂々とD major(ニ長調)と書いてあるのには困ったものです。(2000/1/7) |