A.ブルックナー 交響曲第8番 ハ短調

指揮カール・シューリヒト
演奏ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音1963年12月9〜12日
発売EMI
CD番号CDZ 25 2925 2


このCDを聴いた感想です。


 この曲がCD1枚に収まっていることからもわかるように、テンポはかなり速めです。
 スケールの大きな曲だからといって、肩に力を入れたりはしないで、むしろアッサリと感じられるほどすっきりしています。
 そう、この清清しさがこの演奏の魅力だと思っています。
 このブルックナーの第8番は、完成された交響曲の中ではもっとも大きな規模であり、自然と演奏のほうも周りを睥睨するかのような威圧感(迫力と言ってもいいかもしれません)に溢れたものが多いと思います。
 もちろん、そういった演奏も、ブルックナーの偉大さに圧倒されるという面で、とても魅力があります。
 ところが、シューリヒトの演奏では、威圧感はほとんど感じません。
 全てが自然に感じられ、繰り返して聴いても飽きることがありません。
 さらに、あまりも清清しいため、却って宗教的な崇高さ感じるときもあります。
 それは、キリスト的な父性の厳しさではなく、マリア的な母性の優しさにより近いものです。
 わたしは、特に第2楽章のトリオの部分と第3楽章に顕著に表れていると思います。
 なかでも第3楽章は、速いテンポにもかかわらず、スッと過ぎ去ったりしないで、心にしみじみと残ります。
 一音一音に気持ちがこめれていて、それが頂点に達するのが終わり近くの、シンバルが2発鳴った後、ハープのアルペジオを伴って、弦楽器が2分音符で和音を弾いていくところです。
 この部分は、変な言い方ですが、音にもの凄いスピード感を感じます。
 西洋では強風の日に幽霊が出る(?)らしいのですが、そこの部分を聴くたびに、この世のものでないなにかが出てきてもおかしくないような別世界に足を踏み入れてしまったかのように思えてきます。
 これは、やはりオーケストラがウィーン・フィルということも大きく影響しているのかもしれません。

 わたしは、この曲を10種類ぐらいしか聴いたことがありませんが、その中では、このシューリヒトの演奏が一番好きです。(2000/5/12)


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