A.ブルックナー 交響曲第8番 ハ短調

指揮エドゥアルト・ヴァン・ベイヌム
演奏アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
録音1955年6月
発売PHILIPS
CD番号442 730-2


このCDを聴いた感想です。


 ヴァン・ベイヌムは1900年にオランダのアルンヘムで生まれ、1959年にコンセルトヘボウでリハーサル中に心臓発作で倒れて亡くなっています。
 メンゲルベルクが第二次世界大戦後、ナチスへの協力の罪で追放された後を継いだ、第3代目のコンセルトヘボウの常任指揮者です。
 終戦直後のコンセルトヘボウ管弦楽団は荒廃しており、ヴァン・ベイヌムがいなかったら、現在第一級のオーケストラとしてのコンセルトヘボウ管弦楽団は存在しなかったでしょう。
 彼は、メンゲルベルクが常任指揮者だった戦前から第一指揮者として、メンゲルベルクに次ぐ地位に有りましたが、音楽の方向としては正反対に有りました。
 メンゲルベルクが指揮者の個性を前面に押し出していたのに対して、ヴァン・ベイヌムは、当時としては珍しく作品自体に語らせるという客観主義的な演奏を行なっていました。
 また、メンゲルベルクが、当時としては一般的であった独裁的な姿勢を貫き、指揮者はオーケストラの団員の上に完全に君臨していたのに対して、ヴァン・ベイヌムは民主的な姿勢をとり、指揮者とオーケストラの団員とが一緒に音楽をつくるということを大事にしました。

 最後に、ヴァン・ベイヌムの解説の際に、必ずといっていいほど引用される彼の言葉を紹介します。
 彼が、14歳の時に初めてコンセルトヘボウ管弦楽団の演奏を聴いて、とても感動して彼の母親に言った言葉です。

 「ママ! 僕は将来きっとこのオーケストラの前に立ってみせるよ!」

 彼は夢をかなえたのです。


 ヴァン・ベイヌムはメンゲルベルクと異なりブルックナーを得意としていました。
 コンセルトヘボウへのデビューの曲もこのブルックナーの交響曲第8番でした。
 ヴァン・ベイヌムの演奏らしくテンポは速く、盛り上げるための外面的な効果はほとんどありません。
 たしかに、あまりにもスキッとしすぎて、もう少し粘り気が欲しいなと思うところもありますが…
 特に第4楽章はわたしにとってちょっとテンポが速すぎるようです。
 しかし、第2楽章はいままで聴いた第8番の第2楽章の中では最も好きな演奏です。
 ティンパニーの使い方が非常に効果的で、スピード感とあいまって、素晴らしい高揚感と迫力を生み出しています。

 録音はモノラル最晩年なので、かなり奥行き感が感じられます。特に音のまとまりはいいと思うのですが、その分楽器間の分離が多少悪いようです。(1999/12/10)


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