A.ブルックナー 交響曲第7番 ホ長調

指揮スタニスワフ・スクロヴァチェフスキ
演奏ザールブリュッケン放送交響楽団
録音1991年9月27・29日
発売ARTE NOVA
CD番号74321 27771 2


このCDを聴いた感想です。


『軽くてじっくり』
 そういう言葉が当てはまるような演奏です。
 全体としては、いわゆる大家と呼ばれるような指揮者につきものの、「壮大」とか「威厳」が「重厚」といった仰々しい形容はほとんどあてはまりません。むしろ丸っきり正反対の印象を受けます。
 スマートで横の流れもよく、きれいに整っていて、滑らかで角がありません。
 全体の響きがフワッと軽く、風通しがよいのです。
 しかし、軽くても表面をサッと軽くなでただけのような薄い音楽ではありません。
 第1・2楽章には、響きの軽さは保ちながら、音楽はじっくりと濃厚に歌い込んでいます。
 それも、アクセントを重くしたりとか、アタックを硬くつけたりとか、そういう出っ張りをほとんどつけずに、多少のテンポの伸び縮みはあるものの、メロディーや伴奏の歌い込みだけで、粘りのある濃い表情を生み出しているのです。
 出来の良いお酒のように、癖が無く飲みやすく、それでいて驚くほど豊潤な味わいがあります。
 おまけに、演奏中に指揮しているスクロヴァチェフスキが思わず漏らした唸り声があちこちから聞こえます。よっぽど力を入れて指揮していたのでしょう。まあ、いかにもライブらしい臨場感とも言えますが。
 表情の濃い第1・2楽章に較べると、第3・4楽章はかなりあっさりしています。
 といっても、前半の2楽章に力を入れすぎて後半で息切れしてしまったとか、ましてや手を抜いているわけでは無いと思います。
 この曲自体、全4楽章の中で、第1・2楽章の比重が高く、妙に前半に重心が寄っています。(そのバランスを平均的にしようと第2楽章と第3楽章を入れ替えたC.デイヴィスの演奏もあるぐらいです)
 ボリュームのある第1・2楽章を表情を重視して濃く演奏するのに対して、第3・4楽章は、あまり表情を濃くせず、テンポとリズムの良さを重視しています。それが、少なくともこの演奏に関しては、非常にふさわしいものでした。
 おそらく同じ濃い表情のままでいったら、さすがにくどいでしょうし、前半の楽章にボリュームで負けている分、どうしても尻すぼみの印象を受けたのではないでしょうか。
 それが少し強調する点を変えることで、後半の二つの楽章の印象も強まっています。
 特に第4楽章は、非常にテンポが軽快で、響きの軽さと相まって、他でもそうそうないほどの涼しげで活きの良い音楽です。
 好印象という点では、むしろこの第4楽章が一番だったかもしれません。(2006/1/14)


サイトのTopへ戻る