指揮 | クルト・マズア |
演奏 | ニューヨーク・フィルハーモニック |
録音 | 1991年9月13日 |
発売 | TELDEC |
CD番号 | 9031-73243-2 |
クルト・マズアがニューヨーク・フィルの音楽監督に就任したばかりの頃の録音です。 そもそも、この演奏は何年か前に図書館から借りて初めて聴いたのですが、聴く前は、マズア自体も取り立てて好きな指揮者ではありませんでしたし、オケも、あんまりブルックナーとは縁がなさそうなニューヨーク・フィルということで、たいして期待をしていませんでした。 ところが! 聴いてみると、これが実は素晴らしい演奏でした。 この演奏の一番の特徴はよく歌っているところです。 フレーズを一塊で歌わせるのではなく、それこそ、音符一つ一つを、大事に、丁寧に、じっくりと歌わせているのです。 そのため、テンポは遅めで、前進力に富んでいるとは言えませんが、その代わりに、フレーズからフレーズに移る際に、テンポにちょっとしたタメをつくることで、心地よい緊張感と情感を生み出しています。 聴いていると、「ブルックナーのメロディーって歌わせようと思えばここまで『しみじみ』歌わせることができるだなぁ」という気になります。 そして、もう一つ大きな特徴が金管の扱いです。 最強音になっても、決して音を割ったりしません。あくまでもハーモニーを重視した響きを前面に出した音で演奏しています。 金管だけが目立って耳障りになるようにはしていません。 こう書くと、まるで、地味で、鳴ってるんだか鳴ってないんだかわからないような金管で、メロディーを吹いてても全くわからないんじゃないかと思われるでしょう。 しかし、そうではありません。 メロディーの部分では、これぞニューヨーク・フィル! というようなキリッとした音色とアタックで表に出てきます。 で、ここがポイントなんですが、一番凄いと思ったのは、メロディーの時には前面に出てくるのにも係らず、浮いた存在になっていないところです。 確かにバックのハーモニーとは一線を画した扱いなんですが、あくまでも大きな響きの中の存在として調和しているのです! わたしが持っている他の演奏では、こういう金管は聴くことができませんでした。 わたしは、自分の持っているブルックナー第7番の演奏(といっても8種類くらいですが…)の中では、この演奏が一番好きです。 ところで、最初にも書いたとおり、この演奏は最初、図書館から借りて聴いたのですが、CDを図書館に返してからは、全く聞いておらず、「いい演奏だなぁ」という好印象だけが残っていました。 このCDはつい最近になって手にいれたもので、実は聴く前はけっこう不安でした。 もしかして、聴いてない間に、頭の中で美化されているんじゃないだろうか、と思っていました。 が、CDを買って聴いてみると、「ああ、やっぱりあの時の印象は間違いなかったな」と改めて思いました。 そうそう、最後に版の扱いを… 基本的にノヴァーク版です。ただし、第2楽章の打楽器(シンバル・トライアングル・ティンパニー)はカットされています。 調和が特長でもある演奏なので、確かに無いほうが正解かもしれません。マズアの演奏は、迫力は十分に満たしていると思いますし(2000/12/1) |