A.ブルックナー 交響曲第7番 ホ長調

指揮ウィルヘルム・フルトヴェングラー
演奏ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音1949年10月18日
発売東芝EMI
CD番号TOCE-6520


このCDを聴いた感想です。


 このCDはステレオです。
 ところが、この曲が録音された1949年にはまだステレオ録音はありません(正確には、一部で実験的なステレオ録音が実施されていたという話もあります)。
 ではどうことかといいますと、要するに擬似ステレオという訳です。
 擬似ステレオにもいろいろやり方があるらしいのですが、このCDでは、楽器の分離よりも音の広がりと奥行き感を重視したEMI(本来はエレクトローラというドイツの会社が開発したものらしいのですが…)独自の方法で、エレクトローラ・ブライトクランクと命名されています。
 この音の広がりと奥行きを重視した擬似ステレオは、まさにブルックナーにピッタリで、雄大な雰囲気がよりいっそう深まります。

 フルトヴェングラーの演奏は、テンポは基本的に遅めですが、曲のクライマックスに近づくとだんだんテンポを速くして行くという、わたしがイメージするフルトヴェングラーの演奏のイメージ通りの展開です。
 これが、また曲と良く合って、楽章の最後のクライマックスなどは凄まじい迫力で迫ってきます。
 これは、第2楽章のような静かな楽章においても、あんまり神秘的といった雰囲気はなく、それよりも力……特に生命力を感じさせる演奏です。
 これは、別に明るいとかそういう事ではありません。
 暗くて重い演奏であり、非常に粘り気があるのですが、内側に熱いものがあるような感じがします。それは、火山のマグマが流れ落ちたときに、周りは冷えて黒く固くなっているが、中はまだドロドロに溶けた真っ赤なマグマが詰まっているような感じです。
 フルトヴェングラーの演奏は、「切れば血が出るような演奏」と評されることがありますが、この演奏はまさに人間的な熱い情熱が伝わってきます。

 ところで、このCDのリーフレットにはこの演奏は原典版に基づいた演奏とあり、また、フルトヴェングラー自身も改訂版を嫌い、原典版を推奨していたことは良く知られています。
 しかし、CDを聴く限りでは第1楽章24小節目の3拍目にホルンが入っていたり、第2楽章のクライマックスでシンバルとトライアングルとティンパニーが使われている、といったように、改訂版を使っているか、もしくは改訂版からいくらか取り入れていると思われる点がいくつかあります。
 これはどういう意図だったんでしょうかね? 一度フルトヴェングラーに訊いてみたかったところです。(2000/7/7)


サイトのTopへ戻る