A.ブルックナー 交響曲第6番 イ長調

指揮ヴォルフガング・サヴァリッシュ
演奏バイエルン国立管弦楽団
録音1981年10月13〜14日
発売ORFEO
CD番号C 024 821 A


このCDを聴いた感想です。


 なんだかヨーロッパの教会などで見かけるドーム建築を思い起こさせる演奏です。
 ドーム建築の天井が丸いように、この演奏には個々が一つだけ飛び抜けていたり鋭く角が立って突き出たりすることがありません。全てが柔らかく調和しています。
 小さい石が精巧に組み合わされて大きなドームを形作っているように、どこかの楽器だけが強すぎたり弱すぎたりせず、それぞれがほどよいバランスを保つことで、全体として一つの大きな響きを生み出しています。オーケストラ全体が一つに集まっているため、大きく分厚い響きですが、ドーム建築の中央に空間があるのと同様、外側にピンと張った輪郭を保ちながら、内側は風通し良くスッキリとしていて、中身が濃く詰まった重い演奏よりも、むしろふんわりと軽い広がりが感じられます。
 当然、メロディーだからといってやたらと強調したりはしません。響きの中に完全に埋没したりはしませんが、あくまでも響きの一部として調和した上で歌っています。
 力強さとかスケールの大きさは他の演奏に一歩譲りますが、木のような素朴な暖かさともまた違う、細工を施した工芸品のようにピタッと整っていながら調和した丸く優しい響きというのは他にはなかなか無いのではないかと思います。
 ただ、穏やかで優しいというのは、言い換えると、大きく音楽が動く部分があまり無く、どうしても聴いた瞬間に強く印象に残るようなインパクトには乏しくなります。早い話が地味な演奏という扱いを受けてしまうのです。
 サヴァリッシュがバイエルン国立管とORFEOに録音したブルックナーの交響曲は、この第6番の他に第1番と第5番と第9番があります。おそらく、ゆくゆくは全集を録音する予定があったのでしょうが、その4曲だけに終わってしまったのも、もしかしてそういう印象を与えるために営業面で危ぶまれたという理由もあったのかもしれません。いや、勝手な想像ではありますが。
 たしかに地味と言われても否定できませんが、この、棘の無い穏やかで整った響きは、サヴァリッシュでもバイエルン国立管を指揮した時ならではもので、わたしは、ブルックナーに限らず、このコンビの演奏を高く買っています。(2005/11/12)


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